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人的資本経営とキシダノミクス 【日本経済をターンアラウンドする!】その10

Japan In-depth / 2023年8月5日 21時0分

特に人事の問題。電機メーカーや半導体メーカーでは、現場で優秀な技術者がどんどん出世し、管理職になると、現場を離れてしまったため有能ではなくなる現象が起こる。マネジメント力があるわけではなければ、余計に有能ではなくなる。そして、現場には優秀でない技術者が残され、競争が激しい最新技術についていけない・・・こういう「構造」があったと言われている。



【出典】筆者作成


その意味で「骨太の方針」でも明らかになったジョブ型、つまり、業務内容を明確に定義して人を採用し、仕事の成果で評価し、勤務地やポスト、報酬があらかじめ決まっている雇用形態は非常に有意義である。新卒一括採用・年功序列・終身雇用からの変革として、キャリアの複線化、多様化が求められてきている。労働者のほうも、管理職を目指さず専門職で生きていくことも、副業しながらパラレルキャリアで生きていくこともできる。キャリアの可能性の幅を持てるようになるのだ。


 


■人的資本、有価証券報告書に書くということ


岸田政権の「骨太の方針」の要素で構成されている「人的資本経営」。


簡単に言うと、創造性を発揮し、イノベーションや儲かる事業を開発できる人材を育成し、マーケティングを徹底して現状を考察、技術も大事だがお客が求める・未来必要になりそうな技術やサービスが適用できるかを探し、それを踏まえて、ダイバーシティでイノベーションを起こして、売れる商品を売って稼ぐ、ということである。


グローバル競争に勝てる人材、イノベーションを起こせる人材を集め、育てないと競争に勝てないということだ。そのために、創造性が発揮できる職場・人事制度、多様で協力し合える組織、スピーディーな意思決定、主体的に挑戦する風土、経営に貢献する行動が必要になってくる。もう、権威主義的な風土、組織の風土や空気に縛られたり、慣習にこだわったり、そんな暇はどこにもないのだ。


その意味で、キシダノミクスはあたり前のことを地道に進めていく方向性を示している。


 


■キシダノミクスを侮るべからず


キシダノミクスは経済政策の主導権を大企業から奪いかえした面もあると思う。アベノミクスの大企業優遇が目に余り、安倍政権の応援団の人脈も含めて、少々いびつな関係であったように思える。そうした点も岸田政権では正常化されつつある。


キシダノミクスのシナリオは、ジョブ型人事で人事を変えるべし!労働者の創造性や可能性を解放しろ!と言っているようにも思える。


アベノミクスで株価上昇優先、生産性革命などそれなりにやってきたとはいえ、経済政策でここまで手を付けたのは岸田政権が初めてだと思う。


「骨太の方針」を読めば、それなりに頑張っていることも読める。キシダノミクスに期待したい。


(つづく。その1、その2、その3、その4、その5、その6、その7、その8、その9)


トップ写真:岸田文雄首相(2023年6月21日 首相官邸)


出典:Photo by Takashi Aoyama/Getty Images


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