オランダの帯水層蓄熱利用技術、大阪で採用 メディアツアー報告3
Japan In-depth / 2023年8月7日 23時17分
うめきた2期地区とはJR西日本大阪駅に隣接する元JR貨物の梅田貨物駅があった通称「梅田北ヤード」と呼ばれる地域だ。
ここにできる「グラングリーン大阪」が、日本で初めてATESシステムを本格導入しピーク電力を削減する場所となる。うめきた2期地区付近は地下水を多く含む帯水層がもともと存在していたことから、日本初の大容量エネルギー貯蔵システムを構築することができた。
図)大阪市帯水層蓄熱情報マップ 出典)「大阪市域における帯水層蓄熱利用の普及促進について」大阪環境局エネルギー政策室
しかしこれまでの道のりは平坦なものではなかった。2015年から2018年まで実証実験が行われたが、日本にこれまでなかった特殊な「揚水環水切替型大容量高性能熱源井」を開発せねばならなかった。この井戸を掘削するために、ノウハウが豊富なオランダから技術監督を招き、一から挑戦することになった。ATESシステムの先進国オランダの技術指導が無かったら、実証実験は成功しなかっただろう。
図)グラングリーン大阪 2024年夏ごろ開業範囲 出典)阪急阪神不動産株式会社プレスリリース
2025年日本国際博覧会 オランダパビリオンのテーマは「コモングラウンド(共創の礎)」だ。
日本とオランダの関係が始まったのは17世紀初頭。実に400年以上前にさかのぼる。当時の日本はオランダから、医学、化学、天文学などあらゆる学問を学んだ。その関係は明治時代まで続いた。第二次大戦により両国の関係は一時途絶えたが、今、また新たな関係が構築されようとしている。
今回、何回かに分けて、オランダのエネルギー関連技術やビジネスを紹介した。
循環型経済を持続可能なビジネスモデルにした「コーヒーかすキノコ」。再生可能エネルギーを水素で貯蔵する「分散型エネルギーシステム」、「グリーン水素」を製造する官民挙げての取り組み、そして今回紹介した「ATES(帯水層蓄熱利用技術)」だ。
エネルギー分野でお互い独自技術を持つ日本とオランダの、政府・地方自治体、学術機関、企業レベルにおける交流は、気候変動問題を解決するためのモデルになり得るのではないか。
日本とオランダは、かつてそうだったように、今、新たな「共創の礎」を築こうとしている。いわば日蘭の「セカンドステージ」に私たちは立っているのではないか。オランダから帰国し、そんな気持ちになっている。
(了)
(1、2はこちら)
トップ写真:ATESシステムが採用されているハーグ応用科学大学の構内ⒸJapan In-depth編集部
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