神宮外苑再開発にも一応の意味はある~東京都長期ビジョンを読み解く!その102~
Japan In-depth / 2023年8月8日 21時2分
2018年11月:東京都にて
「東京 2020大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」策定
2021年7月:東京五輪
2022年3月:聖徳記念絵画館前のエリアを加えた整備計画の範
囲にて、東京都より都市計画決定告示
2023年2月:神宮外苑地区第一種市街地再開発事業、東京都知
事より施行認可の公告
2036年:神宮外苑地区市街地再開発事業、全体完成
【出典】筆者作成
上記のような経緯があるのだが、2013年6月に東京都が「再開発等促進区」を設定したことがそもそもの発端である。容積率を緩和し、建物の高さを最高で80メートルまで緩和してしまったのだ(この問題は連載で指摘していく)。民間主体の都市再開発が可能になった理由である。
■ 企業の利益
今回、三井不動産に対しても批判が集まっているが、ディベロッパーのビジネスはそんなビジネスなのだ。東京都心は「都市再生」のもとに高層ビルだらけになってしまった。なぜかというと小泉政権時の「都市再生」で規制緩和をしたことによって、都市開発は儲かるビッグビジネスになってしまった。簡単に考えてみれば、頑張って地権者を説得して土地を集約し、高層ビルを建設、新たに地上の空間を部屋にして転売し、金に換えるということだ。
【出典】東京都都市整備局HP
大都市なのだし、建物は歴史・時代と共に入れ替わってきた。江戸開府以来、何年もの変化が続いてきたわけである。「企業利益優先」と批判するのもいいが、企業のビジネスに頼らない場合、公的資金、いわゆる税金で補足しないといけなくなる。今回の外苑の問題は、税金からスポーツ施設などの建設費をねん出しないで済んだことを押さえるべきだ。
ただし、民主主義的に言うと、「東京2020大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」の策定に当たり、パブリックコメントを実施していたが、全く話題にすらならなかったし、東京都知事選挙も2回ほどあった。政治とメディアの問題は、今後、問題提起を行っていく。
トップ写真:神宮外苑のイチョウ並木 出典:Hajime Seki / Getty Images
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