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「遺産争い」は中韓が勝つ?(下) ロシア・ウクライナ戦争の影で 最終回

Japan In-depth / 2023年8月9日 11時0分

かの国のGDPは最近いささか伸び悩んでおり、7月13日に韓国中央銀行が発表したところによると、暫定集計で世界13位(1兆6733億ドル)で、昨年の世界10位から後退した。それだけに兵器輸出の増大が際立って見える、という面もある。


目下のところ最大の顧客はポーランドで、本連載でも前に触れたことがあるが、K2戦車980輛、K9自走砲648輛、さらにはK239から韓国国産のFA-50軽攻撃機48機という超大型輸入契約を締結。その金額たるや邦貨にして2兆円近くにもなる。


とりわけK2戦車は、アジア製の戦車が初めて欧米で採用された例となった。


さらにK9自走砲は、韓国向け1300輛の他に全部で2000輛が各国で稼働しており、2000年代初頭(2000~03年)の自走砲輸出において、実にその52%を占めていたとのデータもある。


2010年11月に起きた延坪(ヨンピョン)島砲撃事件では、北朝鮮の奇襲に反撃できなかったとして、内外からその性能を疑問視されたが、後に、実は演習を終えたばかりで砲弾が尽きていたことと、にもかかわらず、急遽装填して反撃したことが明らかになった。



写真:北朝鮮による砲撃を受けた韓国・延坪(ヨンピョン)島(2010年11月24日)


出典:Photo by Getty Images


いずれにせよ、このように韓国製兵器が好調な売り上げを見せる理由は、第一には堅実な設計で米国製などと比べて価格が安いことが上げられるが、同時に、中国と同様、安価で勤勉な識字労働力を豊富に持つことから、短い納期を厳守できていることもあるようだ。


実際、ポーランドがK2戦車の輸入を決めた際の話だが、米国製M1やドイツのレオパルト2も検討されていた。しかし、いずれもポーランド軍が求める納期は「守れそうもない」という返事であったが、韓国の対応は違っていたのである。


加えて、大統領によるトップセールスも功を奏している。


先月末、中部の都市大田(テジョン)で開かれた兵器見本市には、世界数十カ国から軍関係者が訪れたが、並行して、大統領自ら在韓の駐在武官を官邸に招いてプレゼンテーションを行っているし、ヴェトナムを訪問した際には、軍用機の売り込みに熱心であったと聞く。


日本の商社関係者たちも、そのマーケティングは高く評価しているが、実はこれ、わが国にとって「いつか来た道」なのだ。


またしても若い読者に笑われるリスクを覚悟して述べるが、1962年11月、当時の池田勇人首相がヨーロッパを歴訪した歳、時のフランス大統領シャルル・ド・ゴールから、「トランジスタラジオのセールスマン」などと揶揄された、と報じられた。当時の日本にとって、主たる輸出品であったため、売り込みがすなわち外交交渉だったのだろうか。


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