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この夏、一番「?」だった映画   日本と世界の夏休み その7

Japan In-depth / 2023年8月31日 23時0分

全体的に絵が暗くて、綾瀬はるかの美しさを堪能できない。さらに言えば「露出」も少なすぎる。ドレスの裾をまくり上げて拳銃を抜いたり、洋服を脱ぐシーンもあることはあるが、ほとんど肌を見せてくれない。


 個人的な感想とは言え、こうしたことは昨今なんとなく開陳しづらい世相になってきているが、松坂慶子、由美かおる、夏目雅子といった昭和の美人女優たちは、いずれも見事なヌードを披露してくれたものだ。


 前半の主な舞台となるのは東京・玉の井で、現在の版図で言うと墨田区東向島のあたりだが、明治時代から前述の銘酒屋などが軒を連ねていた。永井荷風の『墨東奇譚』の舞台でもある。


 ヒロインの盟友で、ウイグル人の血を引く元馬賊だという女性をシシド・カフカが演じていた。役どころはカフェーの経営者だが、この店もまた2階に座敷があって、そこでなにをするのかはご想像にお任せするが、とにかくそうした仕事をしている女の子も登場する。


 くだんの少年が玉の井に匿われていることを突き止めた陸軍は、部隊を繰り出してカフェーを襲撃するが、三八式歩兵銃を揃えた部隊(二個小隊規模=およそ40名と見た)を相手に、ヒロインはタイトル通りリボルバー(回転式拳銃)、シシド・カフカ演じる元馬賊は西部劇でおなじみのウィンチェスター銃で応戦。あっぱれ返り討ちにしてしまう。


 銃撃戦のシーン自体はたしかに見応えがあったが、問題は最後のやりとり。


「それ(ウィンチェスター)、どこで買ったの?」「浅草」


 これほど面白くないギャグを見せられたのは、ずいぶん久しぶりだ。


 ひどさのクライマックスが、映画のクライマックスである日比谷公園での銃撃戦だが、この時もまた、ヒロインに思いを寄せている元海軍士官、さらには元馬賊から従業員の女の子までが助太刀に来る。


 これまた、カメラワークとライトワークが最悪で、濃霧という設定とは言え、誰が何をしているか分からないアクション・シーンなど、あるものではない。


 その銃撃戦の結果だが、ヒロインは白いドレスを地に染めていたものの、顔は綺麗なままだし、前述の助っ人たちにいたっては全員無傷。ひどい。ひど過ぎる。


 綾瀬はるか主演の最新作だから、期待通りの出来だったなら「全力でオススメ」しようと思っていたのだが、これはもはや、コメントを差し控えさせていただく他はない。


 我ながら、いささか偉そうな物言いになってしまった、と思う面もあるのだが、それもこれも、映画、とりわけ邦画に対する思い入れのなせる技である。


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