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ワクチンで予防できる帯状疱疹

Japan In-depth / 2023年9月6日 11時0分

「着替えていたら、首の付け根に発疹が出ているのに気づいた。朝、着替えた時は出ていなかった。これはもしかして…」





見せてもらうと、鎖骨くらいの高さに、まるでネックレスのように発疹がポツポツと出ていた。それもきれいに片側だけ。一部には小さな水膨れができはじめているものもあった。午前の診察時にはなかったので、昼のうちに出てきたのだろうが、制服で隠れていて本人も着替えるまで気づいていなかったようだ。帯状疱疹であった。





再活性化した帯状疱疹ウイルスは神経にそって出てくる。神経が支配する皮膚分節に疼痛が出現し、2-3日後に発疹、さらに紅斑、小水疱の集まったものが出てくる。帯状の皮膚分節に出現するので帯状疱疹と言われている。左右どちらかの神経に沿って伸びていくので、典型的には片側性で体の正中線を越えることはない。日本では80歳までに3人に1人が発症すると言われている。





帯状疱疹ウイルスは、皮膚や神経に炎症を引き起こす。そのため最初のうちは、病変部にちくちくした疼痛や知覚異常を伴う疼痛が出てくる。皮膚を軽く撫でただけで痛みを感じたり、髪の毛をちょっとかきあげるだけでも痛く感じたりする。若い人だと痒みとして認識することもあるらしい。私の知人の30代の男性が額の帯状疱疹を発症したときは、むしろ痒かったそうだ。そのせいで虫刺されか何かと思って放置していたらしく、私が見せてもらった時にはすでに水疱は潰れてかさぶたができはじめていた。それでも痛みは気にならなかったそうだ。ちなみに当院のナースはC3という皮膚分節に水疱が出ていたが、痛みが出ていた耳はこの神経の支配領域とは異なっている。当院の皮膚科医に尋ねたところC3だと耳の辺りに放散痛を訴える人もいるようで、帯状疱疹で矛盾しないとのことだった。





帯状疱疹の治療は抗ウイルス剤の投与である。診断後早期、できれば皮膚病変発言後72時間以内に開始できることが望ましい。帯状疱疹の合併症として多くの方に帯状疱疹後神経痛が残りやすく、数ヶ月から数年あるいはさらに長期間、再発性ないし持続性の神経痛が残る場合がある。このため抗ウイルス剤とともに早期に鎮痛剤を併用しておくことも重要だ。





水痘ワクチンは1984年から存在している。国内では1987年から任意接種として接種が始まったが, 接種率は30~40%程度と低く、毎年約100万人が水痘に罹患していたと推定されている。1回のワクチン接種でも一般的な水痘の95%は予防できるとされるが米国では2回の接種が推奨されており、日本では2014年10月から水痘ワクチンが定期接種となった。これにより小児の水痘は激減したとされる。





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