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人民に「我慢」を強要する習近平政権

Japan In-depth / 2023年9月11日 7時0分

人民に「我慢」を強要する習近平政権




澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】





・国内外の情勢変化に伴い、中国の「現代化」は困難な状況に陥った。





・習主席は人民に「忍耐強く」なるように促し、西側の成長モデルを避ける必要性を強調。





・上半期のGDP成長率5.5%が本当なら問題ないが、党メディアはそれを「曲折」と宣伝。





 





中国は鄧小平路線の「改革・開放」以来、「現代化」という大きな収穫(a)を得た。近年では金融リスクの防止、貧困の緩和、環境ガバナンスなどでも目覚ましい成果を上げている。





ところが、国内外の情勢変化に伴い、目下、中国の「現代化」が困難な状況に陥った。この苦境をいかに脱するべきか。





北京工業大学経済学教授、胡星斗博士は習近平政権に「10の提言」を行っている。その中でも「改革・開放」継続を1番に提唱した。また、「文化大革命」をきっぱりと否定した。他方、博士は「戦狼外交」をやめ、先進国と「平和共存」し「新冷戦」を避けるよう北京政府に求めている。





無論、習政権は、胡博士の提言には決して耳を貸さないだろう。





さて、中国経済の急激な落ち込みに直面し、多くの経済学者たちは、同国経済が回復するためには、消費を促進しなければならないと主張(b)する。





経済学者たちは、習政権に対し、景気浮揚のための大胆な措置を提案している。例えば、財政出動して、米国でコロナが蔓延した時のように人民に現金を支給したらどうかという。中国当局が「消費主導型」経済への転換に拍車をかけることで、長期的な持続可能性が高まるだろう。





ところが、習主席は、西欧式「消費主導型」成長に対して疑念を抱き、財政規律を堅持しなければならない(c)と考えているようだ。特に、今の中国の莫大な負債を考慮すれば、欧米のような刺激政策(「福祉政策」)が打ち出される公算は小さい。





また、市場指向の大規模な改革が行われたり、経済の長年にわたる中央管理への移行が反転したりする可能性も低い。





習主席は西欧式「消費主導型」成長モデルに対して、イデオロギー的に反対しているという。主席は欧米流成長を“浪費”と認識しており、「消費主導型」では中国を世界トップの工業・技術強国にするという目標に合わないと考えているのだろう。





8月16日、習主席は中国共産党機関紙『求是』に寄稿した文の中で、北京政府は西欧的な刺激政策(「福祉政策」)を避けたいという意思を明らかにした。





実際、主席は今年2月、この談話を発表している。だが、中国の景気低迷を示す新しい数値が発表された後、公表された(掲載する時期は、意図的に設けられたものとみられる)。





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