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アメリカ不法入国者の増加の新記録

Japan In-depth / 2023年9月11日 12時0分

アメリカ不法入国者の増加の新記録


古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)


「古森義久の内外透視」





【まとめ】


・メキシコ国境からの不法入国者が8月に17万人以上となり、月間最多数を記録。


・バイデン政権下の不法入国者は700万人以上に達し、深刻な社会問題に。


・大統領選挙戦で不法入国者問題の議論が熱を帯びることは確実。


 


 アメリカへの南部メキシコ国境からの不法入国者の拘束がこの8月の1ヵ月間に17万人以上となり、これまでの月間最多数となったことが明らかになった。バイデン政権の登場以来のアメリカへの不法入国者は700万人以上にも達し、深刻な社会問題となった。この現象を共和党側は民主党バイデン政権の寛容すぎる国境管理政策の結果として非難しており、これから展開する大統領選挙でも主要争点の1つとなることが確実となってきた。


 移民の国、難民の国とも評されるアメリカ合衆国は建国時から外国からの入国者が国づくりの根幹となってきた。その結果、アメリカ政府はいまも外国からの入国希望者には寛容である。しかし長年のそうした政策のために不法入国者の数が激増し、2000年はじめの時点では全米で約1100万人とも伝えられた。この状況は国内テロや犯罪の増加、経済面での一般アメリカ人労働者の圧迫などの問題をも生んできた。


 アメリカ国政の場では伝統的に共和党よりも民主党の方が外国からの入国者には寛大な政策をとってきた。とくに民主党のオバマ政権時代には不法入国者の数が増え、テロや治安悪化の原因にもなってきたとの指摘は広範となった。その対応として共和党のトランプ政権はアメリカ・メキシコの国境に高い壁を建てる政策を採用した。だが民主党のバイデン大統領はこの政策に反対して、国境の壁の建設をただちに中止して、入国希望者に寛容な態度を打ち出した。


 このバイデン新政策は中南米諸国からメキシコ領を抜けて、アメリカに入ろうとする入国希望者を激増させた。アメリカ側ではカリフォルニア、ニューメキシコ、アリゾナ、テキサスという国境沿いの4州に入国資格のない不法入国者がどっと入ってくるという結果をもたらした。とくにテキサス州ではメキシコとの国境線を画すリオグランデ川を渡ってくる不法入国者をバイデン政権下の移民税関執行局はほとんど取り締まらないことから、地元の州当局への負担が過大となった。


その結果、2022年9月にはテキサス州のグレグ・アボット知事が不法入国者100人ほどを首都ワシントンに送り込んで国境管理の最高責任者とされたカマラ・ハリス副大統領の公邸に直接の救済要請のアピールをさせるという緊急措置までとった。この行動はこの不法入国者問題を大きくは取り上げなかった民主党傾斜の大手メディアまでを動かし、全米的な関心が高まった。


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