ChatGPTが医学研究に与える影響
Japan In-depth / 2023年9月23日 12時27分
金田君の活動を見ると、テクノロジーの進歩が医学研究を劇的に変えていることを実感する。彼は既に高い論文作成能力を有し、驚異的な成果を上げている。2023年9月9日現在、米国医学図書館データベース(PubMed)には彼の名前で44報の原著論文や論考が収録され、22報では彼が筆頭著者を務めている。また、PubMedに収載されていない論文や論考も存在し、2023年4月以降には“in press”を含めて30報の原著論文や論考を執筆している。
初めて英文論文を発表したのは、昨年3月のことだから、それからわずか一年半で凄まじい実力をつけたことになる。私は、これまで大勢の若者を指導してきたが、金田君のような存在は初めてだ。
なぜ、このような若者が出てきたのだろうか。金田君は1996年にスイスのフラウエンフェルトで生まれた。父はドイツ人、母は日本人だ。幼少時をスイスのアルボンという街で過ごした後、小学校入学時に日本に移住した。英語、日本語を流暢に話し、ドイツ語でも基本的な会話が可能だ。東海高校から北海道大学医学部へと進学した。
金田君は優秀な人物で、情熱も感じられる。さらに、彼は英語を流暢に話し、読み書きする。ただ、このような能力を持つ人は他にも多くいる。金田君を特徴づけるのは進取の気性と抜群の適応力だ。コロナ禍にもかかわらず英国のエジンバラ大学に留学した。前出の坪倉医師や尾崎医師から臨床的思考法を学び、そのノウハウを「盗んだ」。金田君は、「先生方には幾ら感謝してもしきれない」という。彼も他の多くの若者と同様にさまざまな悩みを抱え、時には落ち込むことがあるが、すぐに立ち直る強さを持っている。このような経験が彼の成長を促している。
最近、彼が論文作成に採り入れているツールがChatGPTだ。彼はまず論文に必要なファクトを集め、日本語で文章を作成することが多い。その後、ChatGPTを使用してアカデミックな英語に「翻訳」する。金田君は「ChatGPTが訳した文章を確認する際に、文法の違いやニュアンスを考慮しても、ほとんど修正する箇所がない」と言う。
実は、私もChatGPTを愛用している。私は毎月15本ほどの連載を書くが、数ヶ月前からChatGPTで文章を校正している。残念ながら、ChatGPTが推敲した文章の方が、私が書いた文章より読みやすいことが多い。
ChatGPTを使い続けると、様々なノウハウを習得する。この点について、金田君と議論したことがあるが、私と金田君が重視するポイントは完全に一致していた。
この記事に関連するニュース
-
女児の陰毛を診察した「専門医」は、なぜ「今後も見る」と開き直ったか…元大学教授がトンデモ行動に出る根本原因
プレジデントオンライン / 2024年6月23日 9時15分
-
富山大学と福島県立医科大学、ジャパン・メディカル・カンパニーの三者が「ヒト側頭骨標本観察による内耳構造の三次元構築」に関する共同研究を開始
PR TIMES / 2024年6月12日 17時45分
-
《医師・歯科医師・薬剤師向け》無料オンラインセミナー6/23(日)朝10時開催 『脚力と血管力を鍛えて100歳まで生きる』講師:伊賀瀬 道也先生(愛媛大学大学院 医学研究科 抗加齢医学講座/教授)
@Press / 2024年6月6日 15時30分
-
ハーバード大「ヒトは180歳まで生きられる」…逆に言うとそこまで死ねない人間がすべき老化を防ぐ5つの習慣
プレジデントオンライン / 2024年6月3日 16時15分
-
「怒り」の解消は原因を紙に書いて破り捨てるが吉!
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月2日 9時26分
ランキング
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください