中国恒大破綻に見る習近平政権の無策
Japan In-depth / 2023年10月6日 13時42分
習政権は、元来「権力を集中させて大きなことをする」という「制度的優位性」で、まだ問題を解決するのに十分な手段を持っていた(c)はずである。
しかし、各レベルの役人はやる気がなく最低限の仕事しかしないで(「寝そべり族」的手法)、人民を守るための措置を行わなかった。
たぶん中国共産党内では、誰かが恒大の“悲惨な結果”を知っていたはずである。少なくとも当時経済を担当していた劉鶴元副首相は、市場の法則について理解していたのではないだろうか。
けれども、2013年、習政権下、「反腐敗」の名目で内部大粛清が始まり、ついには、2018年の憲法改正で共産党政権は集団的財産権から完全に習主席1人の私的財産権へ変化した。したがって、劉鶴さえも中国恒大救済に動けなかったのかもしれない。
ところで、北京は、地方政府の「隠れ債務」によって引き起こされる財政リスクを軽減するために、「隠れ債務」を低金利コストの債券に変換できるようにする計画を開始(f)したという。
例えば、内モンゴル政府は663億元(約1兆3260億円)相当の3つの「借換債」を発行する。償還期限は3年から7年で、毎年10月10日に利払いを行い、満期時に元本の一括返済と最終利払いを行う。
9月28日、国営メディアは地方政府特例債の新規発行が徐々に減少していることを踏まえ、債務問題の解決に「良い時期」だと報じた。
ただ、国際通貨基金(IMF)は中国地方政府の「隠れ債務」は今年66兆元(約1320兆円)に達すると予想している(その大部分は「地方政府融資プラットフォーム」に集中する)。
北京が最新発行予定の地方政府借換債(借入を許された期間内で、一度全額返済し、再度同額借入を行う時に発行する地方債)の総額は余りにも小さい。これも小手先の措置で終わる公算が大きいのではないだろうか。
〔注〕
(a)『BBCNews中文』
「恒大:負債を抱えた中国不動産最大手、米国での破産法申請が意味するもの」
(2023年8月18日付)
(https://www.bbc.com/zhongwen/simp/business-66541011)。
(b)『Reuters』
「焦点:中国の不動産企業『3つのレッドライン』融資ルール来年、一部の企業はシャドーバンキングから借りることができる」
(2020年8月29日付)
(https://www.reuters.com/article/chinese-property-developers-funding-rule-idCNKBS25P01Y)。
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