日本「人材」のやばさをどうする!【日本経済をターンアラウンドする!】その16
Japan In-depth / 2023年10月8日 14時0分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・IMD世界人材ランキングで日本は過去最低の43位。
・特に、経営教育、有能な上級管理職の分野でランキングが低い。
・上位のスイスやルクセンブルク、シンガポールなどから学べ。
世界で43位。
スイスローザンヌに拠点を置くビジネススクール、IMD(国際経営開発研究所)が9月に発表した「世界人材ランキング」の結果は、まさに日本の人材の現状をしめしています。
前年より2つ順位が下がって43位となってしまった日本。2005年の調査開始以来最低の数値です。客観的なデータなのでこれを真正面に受け止めるべきでしょう。
どうしてこうなっちゃったんでしょうか?
・過去の高度成長期の成功と教育モデルを過度に賞賛して改善を怠った?
・学習よりも教育、個人よりも集団、自由主義よりも権威主義的な文化が重視された?
・時代が求めるビジネス環境の転換を見極められなかった?
・教育の伝統やイデオロギー的な議論や価値観闘争が続いた?
・そもそも教育投資や研修投資が不足していた?
理由は様々であり、複合的である。しかし、モノづくりをして世界を席巻したビジネスのままイノベーションが起きず、新商品や新サービスを開発・世界のビジネスで「敗北」したことは確かでしょう。
■特徴は?
さてIMDの調査を見てみましょう。
Talent landscapeは、Investment & Development、Appeal、Readinessなど3つの分類から構成されます。そのうち、Readiness(学習準備状態)では
▲図【出典】IMD
もちろん、海外経験、言語スキルなども低いのですが、特筆するのは以下の2つ。
・Management education (経営教育) :60位
・Competent senior managers (有能な上級管理職) :62位
の低さは特徴的です。
マネジメント層の育成に失敗したと言っていいのかもしれません。特に、マネジメント層は学ばない割合がとても低いのは日本企業の課題です。筆者連載第二回でも述べましたが、勤務先以外での学習や自己啓発を行っていない割合は46%と世界でも屈指の高さ。つまり、学んでいないのです。実感としても名門大学や名門企業に行った友人が、業務や出世競争やらで頭が精一杯になっていることを考えると、そんな気もします。大人になってまで学ぶ必要を感じていないからでしょう。そして、学ぶ楽しさを経験出来てこなかったということもあります。日本の教育は「学ぶべきこと」重視で、「学びたいこと」、つまり、学びの楽しさを提供するという点で弱かったのも事実でしょう。日本の受験システムは意欲をそぐ面もあります。個人的には大学に行って、いきなりディスカッション中心のアメリカ式の教育には衝撃をうけたこともありました。そして、会社も学ぶことを奨励していたとは思えず、外資系のように「学び成長しないと生きていけない」という会社は少ないのです。
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