激減する中国のアフリカ向け融資
Japan In-depth / 2023年10月9日 12時10分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
【まとめ】
・中国の経済が低迷し、「一帯一路」で投入している融資が激減している。
・アフリカ向け融資は過去20年近くで最低水準に落ち込んでいる
・5億米ドル(約750億円)を超える大規模融資は減少すると予想される。
今年(2023年)、新華社通信が主催する『参考消息』(9月29日号)の「中国大地」欄に、「北京が世界の思想首都になりつつある」という見出しが掲載(a)された。
その上に、小さく「海外メディアが『人類運命共同体白書』を熱く論じる」と書かれていた。「人類運命共同体白書」の正式名称は『「手を携えて人類運命共同体を構築する:中国のイニシアティブと行動」白書』(以下、『白書』)である。
早速、中国のネットユーザーからは「思想の自由すらない場所が思想の首都になれるのか」と揶揄されている。
『参考消息』はこれまで外国人の口を借りて、甚だしい場合には、わざわざネタをいったん輸出し、それを国内に輸入して中国を賛美してきた。中国人に「外国人がそう言っている」と誇りと喜びを感じさせようとしているが、中国ネットユーザーに嘲笑されている。
今度の場合、その主旨は、習近平主席が10年前に提唱し、今まさに開花し始めた「人類運命共同体」を称賛することにある。
今年9月、国務院情報弁公室が発表した『白書』には、人類運命共同体理念はブロック集団である「小集団」ルールを超え、実力至上の論理を超え、更には、一部の西側諸国が定義した普遍的価値観を超越している(b)さえ述べている。
9月26日、新華社は、中国は質の高い「一帯一路」の推進などで人類運命共同体の構築に貢献してきた(c)と報じた。
同日、王毅外相は『白書』の発表会で、次のように語った。「多国間外交は、中国がグローバル・ガバナンスに参加して人類運命共同体を推進する重要な基盤であり、首脳外交を展開する重要なプラットフォームである。習主席は多国間外交を重視し、グローバル・ガバナンスで中国の役割はますます大きくなっている。・・・(中略)・・・人類運命共同体を構築するためには、あらゆる形態の一国主義、陣営間対立、強権政治に反対しなければならない」(d)。
『参考消息』は『白書』が人類発展の方向性を示唆したので、外国メディアから熱いコメントと反響を呼んだ(a)と述べている。
そして、海外メディアとしてシンガポールの『ザ・ストレーツ・タイムズ』とロシアの『RIAノーボスチ通信』を引用した。
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