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中小企業“搾取”を画策する習近平政権

Japan In-depth / 2023年10月10日 11時20分

中小企業“搾取”を画策する習近平政権


澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】


・国家財政の悪化で、各地職員の給与のカットや欠配が発生。


・「毛沢東派」の張宏良が、民間企業の資産を凍結するよう呼びかけ。


・習政権は、国家財政の赤字を埋めるため、民間企業の資産を“搾取”しようとしているのでは。


 


周知の如く、目下、中国経済は停滞している。そのため、近頃、相次いで、全国各地政府機関の従業員の給与カットや手当の取り消し(a)が行われている。


一例を挙げてみよう。天津市の場合、財政はとっくの昔に破綻しているという。そのため、市政府は、会社や個人に対し(罰金の形で)増税するしか方法がない。天津市の学校、機関、一部の公務員は、業績給や週末の時間外手当を取り消した。そのため、今年に入ってから大規模な給与欠配が発生している。


天津市河北区など少なくとも4つの区は、政府が財政難に陥っており、多くの公務員が数ヵ月間、賃金未払いに苦しんでいる(b)。そこで、同市の役人は地元の大悲寺院へ行き、僧侶から金を借りようとした。だが、僧院もカネに困っていて、市の借金要求を拒否した(c)という。


大悲寺院は河北区天緯路に位置しており、天津で現存する規模が最も大きく、最も歴史の古い寺(b)である。地方政府の役人が寺院に借金を依頼するのは“前代未聞”の異常事態と言っても過言ではない。


さて、中国には5000万社近い民間企業があり、その99%は中小・零細企業である(d)。


数年前、自称“金融人”の呉小平が 「中国の民間セクターの撤退」を示唆する文章を発表し、激しい議論が巻き起こった。


それに続き、今年(2023年)10月1日、「毛沢東派」の張宏良が、中国共産党に民間企業の資産を直ちに凍結するよう促す記事を発表した。張は「習近平政権は民間企業の財産を直ちに凍結しなければならない。1分1秒遅れるごとに莫大な損害が増える」と訴えている。


だが、『復興網』に発表された張宏良の記事は、「すべての民間企業を抹殺しようとしている」とネット民から集中砲火を浴びた。


張によれば、中国恒大や碧桂園が、中国の何千もの個人事業主に対し、会社の資産を個人の資産へ、中国の資産を海外の資産へ移す方法や銀行負債を失くす方法を暴露(e)した。


そのため、張は、ますます多くの個人事業主が「資産を海外に移そうと躍起になっている」と主張する。


一部のネット民は、張宏良の提案は、直近の民間企業を積極的に支援するという政府の政策に合致せず、反対に「後退」しようとしていると指摘した。


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