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金正恩、反米戦線拡大で窮地からの脱出狙う

Japan In-depth / 2023年10月15日 17時0分

金正恩、反米戦線拡大で窮地からの脱出狙う




朴斗鎮(コリア国際研究所所長)





【まとめ】





・金正恩委員長は露のウクライナ侵略での苦境を利用しプーチンとの首脳会談を取り付けた。





・今回の会談で、対北朝鮮非核化政策は有名無実化され、第2次世界大戦後の「核不拡散」は事実上崩壊。





・北朝鮮は、朝ロ軍事協力強化とイランとの連携で、反米戦線を拡大させ、四面楚歌からの脱出を図ろうとしている。





 





北朝鮮の金正恩総書記は、経済の破綻と国防5カ年計画の未進(技術力不足)、米韓日協力態勢強化による安保危機から脱しようとして、ロシアのウクライナ侵略での苦境(特に弾薬、通常兵器の枯渇)を利用したプーチンとの首脳会談を取り付けた。この会談で金正恩は求心力回復を図る一方、朝ロ軍事協力を強化し、そこにイランなど反米国家を引き込み、世界的反米戦線を形成しようと企んでいる。





■ 朝ロ首脳会談で金正恩の求心力回狙う





金正恩は、この会談の「成果」を金正恩の偉大性と結びつけて国





内外に大々的に宣伝している。9月20日の党中央委第8期第16回政治局会議では「今回の訪問を契機に朝露関係が新時代の要求に応じて新しい戦略的高さに上がり、世界政治地形において根本的な変化が起きた」と報告した。また9月26~27日に開かれた14期9回最高人民会議でもこの成果を強調する演説を行い、自身の求心力回復を狙った。





■ ロシアとの軍事協力強化で先端軍事技術を導入





この会談では、対露武器供与とロシアからの食料支援、軍事技術の導入などが協議されたと取り沙汰されているが、会談の詳細は発表されていない。ただ軍事協力が中心議題であったことは、李炳哲(リ・ビョンチョル)党軍事委員会副委員長、朴正天(パク・チョンチョン)党軍政始動部長と軍首脳、朴泰成科学技術書紀、趙春龍軍需工業部長などが総出動したことからも明白だ。崔善姫外相も同行したが、これは外交儀礼の範囲と見られる。また軍事オタクの金正恩が、ロシアの最先端武器と技術の説明をメモする姿にもそれは現れた。





会談の狙いについて、アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は、すでに8月3日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアが、北朝鮮から武器を購入することが目的だったと指摘した上で、「ロシアは砲弾の購入などを通じて北朝鮮との軍事協力を強化することを目指している」と述べている。





反米戦線拡大で米軍事力の分散促進





朝ロ会談の冒頭、プーチンは「経済協力と地域情勢について協議しなければならない」と言明。一方で、金正恩は「帝国主義と対抗していくために結束を維持できると確信している」と述べ、反米共同戦線強化を訴えた。今回会談によって、対北朝鮮非核化政策は有名無実化されただけでなく、第2次世界大戦後に構築された「核不拡散」などの秩序は事実上崩壊したといえる。





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