えげれす国紫煙譚(下)たまにはタバコの話でも その4
Japan In-depth / 2023年10月28日 17時0分
「将来的には規制の対象になるであろう」
と明言している。とどのつまり、なにが問題なのだろうか。
私がもうひとつ、この報道に接して抱いた個人的な感想は、英国人はどうも極端から極端に走る傾向があるのではないか、というものであった。
20世紀英国の、成人男性の喫煙率については詳細に知ることはできなかったが(そもそも喫煙を問題視していなかった)、タバコがつきもの、と言って過言ではなかったのである。
たとえば、スナク首相は保守党の政治家だが、彼の偉大な先輩と言えるウィンストン・チャーチルは、太い葉巻がトレードマークであった。
英国軍人にヘビースモーカーが多かったことは、軍事や戦史に関心のある人にとっては常識に属する事柄であるし、フィクションの世界においても、秘密情報部員007ことジェームズ・ボンドは、ソ連邦の諜報機関のファイルにまで、
「喫煙多量(金筋3本入りの特注の紙巻きを好む)」
などと書かれていたほどだ。このファイルの話は『ロシアから愛を込めて』の中に出てくるが、別の本では1日70本も吸うと書かれていた。
その英国で、どうしてここまでタバコを敵視するかのような政策に転じたのだろうか。
これは見方を変えたならば、英国の個人主義が脅かされている、ということにならないか。
もちろん別の視点から論じることも可能で、例えばドイツのように、タバコは規制する一方で、大麻は解禁の方向に向かう、と言うのに比べれば、まだまともではないか、と考える向きも、日本では決して少なくないであろう。
この問題については、次回。
トップ写真:パブの外でタバコを吸う人たち(英国・ロンドン)出典:In Pictures Ltd./Corbis via Getty Images
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