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中国の今年第3四半期GDPの“虚偽申告”

Japan In-depth / 2023年10月31日 11時44分

中国の今年第3四半期GDPの“虚偽申告”




澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】





・習近平政権が+4.9%成長の“虚偽申告”。中国第3四半期のGDPは大幅なマイナスのはず。





・一般の欧米式計算方法では、約3分の2が「民間投資」、約3分の1が「政府投資」。





・近年、「政府投資」総額が「民間投資」に迫り、近い将来、逆転もあり得る。





 





今年(2023年)10月18日、中国国家統計局は今年第3四半期(7月-9月)のGDPを発表(a)した。世界や日本のメディアはこぞって、+4.9%成長したという習近平政権の“虚偽申告”を報道している。





中国のGDPの50%近くを占める投資(後述)だが、(1-9月等の累計ではなく)単月計算すると7月は-11.6%、8月は-13.6%、9月は-11.6%である(図表1参照)。













▲図表1





また、中国の消費は、米国や日本と異なり、GDPのおよそ30%半ば(後述)しかない。たとえ、7月が+2.6%、8月が+4.6%、9月が+5.5%(b)(図表2参照)であっても、大してGDPは伸びないだろう。









▲図表2 2022~23年消費財小売総売上高





参考までに、不動産開発投資にも触れておこう。一般に中国のGDPの(川上・川下の産業を含め)約30%を占めると言われる。単月計算であれば、7月は-17.8%、-19.1%、-23.0%(c)である(図表3参照)。













▲図表3





このような状況下、どうしてGDP全体がプラスになるのか理解できない。どう見ても、中国第3四半期のGDPは大幅なマイナスとなるだろう。





世界や日本のマスメディアも、そろそろ中国共産党の“提灯持ち”をやめた方が良いのではないだろうか。





次に、中国のGDPでは「投資」や「消費」がGDP全体のどのくらいを占めるか、2022年を例にとって考えてみたい。





昨年、中国のGDPは121兆0207億元(d)である。投資は57兆2138億元(e)(GDPの47.3%)、消費は43兆9733億元(f)(GDPの36.3%)だった。すると、2022年の(投資+消費)は合計101兆1871億元(GDP比83.6%)となる。





昨年のGDPの残り部分は(貿易黒字+政府支出)である。これを求めるには、GDP全体から(投資+消費)を引けばよい。すると、19兆8336億元(GDPの16.4%)という数字が得られる。





以上はあくまでも中国当局独自の計算方法である。だが、一般の欧米式計算方法だと、中国経済の実相はまったく異なる。





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