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「禁煙の奔流」には数々の疑問(上)たまにはタバコの話でも その6

Japan In-depth / 2023年11月2日 11時0分

ところが、大ヒットしたドラマの常として、スピンオフや劇場版(=映画)も作られたが、2012年に公開された映画『踊る大捜査線 THE FINAL』では、なんと誰一人タバコを吸っていなかった。





やはり社会現象にまでなった劇画『ゴルゴ13』(さいとうたかを著、講談社)の主人公も、オランダ製のシガリロを好み、待ち合わせの相手が遅れた時など、足下に2~3本の吸い殻が落ちている、と言った描写がよくあったものだが、最近は喫煙シーンをとんと見なくなった。





ご案内の通り作者のさいとうたかを氏は2021年に他界され、故人の意志によりプロダクションと編集部の手で連載が続けられているのだが、まさかそれが理由ではあるまい。





新幹線や飛行機も然りで、1999年4月1日をもって、JALの国際線は全席禁煙になった。その直後のことだったと記憶しているが、取材でロンドンに出向いた帰路、隣の座席にいたオッサンがCAさんに、タバコを吸える場所はないのか、と尋ねた。当然ながら、





「機内は全面禁煙となっております」





とあしらわれたが、根性があると言おうか往生際が悪いと言おうか、





「じゃあ、機外で吸わせてくれよ」





などと言う。するとCAさん、





「パラシュートはお持ちでございますか?」





と切り返した。そういうマニュアルまで用意されていたのか、それとも彼女のアドリブかは定かでないが、笑いをこらえるのには相当苦労した。JALは偉い笑。





今にして思えば、これは喫煙者の居場所はもはや無きに等しい、21世紀の日本のデジャブではなかったか。





念のため述べると、機内は全面禁煙というJALのこの処置は正しいと、私は考えている。安全性の観点からも、機内に火の気など無いに越したことはないだろう。





さらに言えば受動喫煙の問題についても、私は無知・無関心ではない。





ロンドンに行く以前、すなわち1980年代前半ということになるが、飲食店などでアルバイトをしながら小説を書いていた時期がある。バイト先の喫茶店で年末の大掃除をした際、店内の棚に飾られている人形も洗った。





きれいな琥珀色なので、てっきりもともとそういう色なのだろうと思い込んでいたが、洗剤を溶かした湯に浸けて、少し置いてから水洗いしたら、なんと純白になったではないか。





タバコのヤニで染まっていたのか、と仰天させられて、同時に、自分はとんでもない環境で働いているのだな、と思わされた。





とは言えその当時は私自身も喫煙者であったし、そもそも排気ガスだらけの都会で生まれ育っているのだから、くらいの気持ちで、深刻には受け止めていなかった。そのバイトはほどなく辞めたが、タバコの問題とは関係ない。





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