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「禁煙の奔流」には数々の疑問が(下)たまにはタバコの話でも 最終回

Japan In-depth / 2023年11月3日 11時0分

そのことが、昨今の「禁煙の奔流」とどう繋がるのか。





当時の日本でよく言われていたのは、





「喫煙者は年間7兆円もの損害を社会に与えている」





ということで、タバコから得られる税収を考慮に入れても、到底バランスシートが見合わない、などと主張する人が大勢いた。





問題はその「7兆円」という数字の真実性だが、調べてみると、これがいささかひどい。





たとえば、タバコの火の不始末などを原因とする火災によって、毎年2兆円もの財貨が消失している、などと言われていたが、総務省消防庁のデータと照らし合わせてみたところ、これはゼロがひとつ多いだろう、と言わざるを得なかった。そもそも火災による被害の総額が1兆円に達していないし、出火原因も最多は放火なのだ。





他にも指摘できるのだが、要するに、喫煙者を減らすことで医療費などの社会負担が軽減できる、という結論ありきの議論であると言わざるを得ないのである。





英国において、2009年以降に生まれた若者は一生涯タバコを買うことが出来なくなる、という法案が検討されていることは前に述べたが、その理由は、





「タバコは様々な生活習慣病の原因となっており、医療制度を維持して行く上で重大な障壁になってきている」





というものであった。日本で喫煙者が居場所をなくしつつあることが、これとは異なる事情だと考え得る根拠は、どこにもない。





タバコの価格が青天井で高騰していることについても、見ておきたいことがある。





やはり『大日本健康帝国』の中でも触れたが、1970年代にデンマークのコペンハーゲンで、市価の半値のタバコが大量に流通していることが明るみに出た。中国製などのいわゆるバチ物でなく、すべて本物であった。





さては密輸か、盗品の横流しだろう、と見当をつけた市警が捜査に乗り出したが、そうした形跡はなく盗難届も出ていなかった。しかし、売人を捉えては厳しく追及するという、地道な捜査を続けた結果、なんと北朝鮮大使館が、外交官特権(=免税)で大量のタバコを買い付け、売りさばいていたことがあきらかとなったのである。





本当にろくなことをしない国だが、見方を少し変えたなら、半値で売っても利益が出るような価格設定にも、いささか問題があったのではないか。





日本で同様のことが起きる可能性は今のところ低いが、コンビニ強盗が現金でなくタバコを奪って逃げたという事件は現実に起きているし、それは極端な例であるにしても、常識外とも言える価格で販売を続けていると、いつか市場から復讐される日が来るのではないだろうか。





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