「禁煙の奔流」には数々の疑問が(下)たまにはタバコの話でも 最終回
Japan In-depth / 2023年11月3日 11時0分
シリーズ第1回で、私は2002年以来タバコを休んでいる、と述べた。
吸いたくなればいつでも吸える、と思っているから、かえって吸わなくても苦ではなかった、という意味だが、その間一度も吸ったことがない、とは言っていない。
2010年にスペインのマドリードに短期留学した際、机を並べていたサウジアラビアからの留学生に誘われてアラビア料理店に足を運び、そこで水タバコを初めて体験した。
フレーバーが色々あることも初めて知ったが、選ぼうにも当方まったくの未経験者であるから、本場からの留学生に任せ、マンサーナ(リンゴ)を選んだ。リンゴの香りは全然感じられなかったが笑。
タバコの煙を一度水にくぐらせるので、有害物質がかなり除去される、という話を聞いたこともあるが、色々読んでみると、これもこれで事実とは異なるらしい。
いずれにせよ大麻やハシシと違ってまったく合法であるし、水タバコを一服した次の瞬間に血ヘドを吐いて斃れた人がいるという話も聞いたことがないので、何事も経験、と思って楽しんだ。およそ10年ぶりの喫煙で、悪いものではなかったが、感激した、というほどでもなかった。
ちなみに10年前のマドリードも屋内では一般的に禁煙で、その分、歩道のそこかしこに置かれた灰皿に人だかりが出来ている光景をよく見かけた。アラビア料理店の水タバコは、なにか特別な事情があって認められていたのだろうか。
その詮索はさておき、私は飲食店や職場を禁煙とすること自体に反対ではない。ただ、分煙で十分ではないのか、と考えているだけである。
タバコの煙が嫌いな人にまで副流煙を吸わせるのは、たしかによくないし、喘息の持病がある人にとっては迷惑どころではない。
しかしながら、タバコの価格設定も含めて、昨今の喫煙者に対する様々な仕打ちは、いささか度を超しているように思えてならないし、そこに国家権力の思惑が透けて見えることには、ある種の違和感を抱かざるを得ない。
たとえこの世からタバコが消えても私は差し支えないが、同時に、どうしてもタバコをやめられない人を「非国民」と呼ぶような社会で暮らしたいとは思わないのだ。
トップ写真:東京・渋谷の屋外公共喫煙所(2016年5月16日 東京・渋谷)出典:Photo by Eric Lafforgue/Art in All of Us/Corbis via Getty Images
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