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米中関係はどうなるのか~トシ・ヨシハラ氏と語る その3 中国は日米同盟の空洞化を意図する

Japan In-depth / 2023年11月2日 17時0分

米中関係はどうなるのか~トシ・ヨシハラ氏と語る その3 中国は日米同盟の空洞化を意図する


古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)


「古森義久の内外透視」





【まとめ】


・中国が求めているのは、世界に複数の主要国家がそれぞれ独自の勢力圏を持つ多極世界。


・その構想では日本は中国の覇権下に入り、日米同盟は空洞化する。


・中国は、最近グローバルな制覇まで視野に入れ始めた形跡がある。


 


トシ・ヨシハラ 「私は中国共産党政権が求めているのは、最小限、多極世界だと思います。ソ連の崩壊で東西冷戦が終わり、1990年代の江沢民政権の前半ごろから中国は世界に複数の主要国家がそれぞれ独自の勢力圏を持つ多極の世界の実現を期待するようになったと思います。


アメリカは西半球、欧州諸国はヨーロッパ大陸、ロシアはユーラシア、そして中国は少なくとも東アジアを、それぞれ勢力圏、支配圏内におくという世界です。中国は西太平洋からインド洋にかけての勢力圏、つまりは覇権の確立を目指すという目標です。


その構想では日本は中国の覇権下に入ります。中国はそのためには現在のアメリカの東アジアでの軍事プレゼンスを減らすか、なくさねばならない。日米同盟の空洞化です。ところがアメリカにとって第二次世界大戦後、米軍の日本など東アジアでの前方展開、そして複数の同盟は自国の世界政策の支柱となってきました。


その前方展開はアメリカと日本など東アジアの同盟国、友好国との政治、経済、文化などの強い絆の基盤となりました。アメリカのこの国策は中国の多極世界への前進とは両立しえません。日本も同様です」


古森義久 「つまりは先に私が述べたように中国は日本の安全保障政策の根幹を認めない、ということですね」


ヨシハラ 「そうですね。アメリカはこの前方展開により長年、自国と同盟諸国にとっての好ましいパワーの均衡を保ってきました。


それがアメリカ本土の防衛にもつながります。この政策は客観的に述べれば、日本が好きで親切とか寛容という動機で実施しているわけではない。アメリカ自身の国益、そして国家安全保障を利する、必要な基本政策なのです。


だが中国は東アジアからアメリカを撤退させ、自国による地域秩序を築くことを目指しています。中国がもしその野望を実現させたら日本はどうなるか。中国の勢力圏下に入るわけです。その新秩序は当然、中国が望む形となる。圏内の諸国は中国の政策や要求に従う。領有権問題でも尖閣諸島の実例を始めとして、みな中国の主張に従わさせられる。


そんな中国支配の東アジアではまさに今回の日本の処理水への中国の抗議のような理不尽な主張が基準となります。日本は属国のような立場に追い込まれるわけです。そんな東アジアに住みたいという日本国民は少ないでしょうね。しかも中国共産党政権の対外政策は多極世界の実現に留まらず、最近ではグローバルな制覇というところまで視野に入れ始めた形跡があります」


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