中国の一帯一路政策は人権侵害を助長 タイNGOがミャンマー北部の実情報告
Japan In-depth / 2023年11月6日 11時0分
兵士による女性や少女に対して暴力特に性暴力、レイプをした上で殺害するケースの増加ともに一般住民の家屋への放火、焼殺、銃殺事案人、間の盾としての利用も増加しているといわれている。
とくに周辺住民や抵抗勢力への見せしめとして斬首遺体を放置して抵抗意欲の低下を狙う作戦も実行されているといわれている。
★道路拠点を巡る争いが悲劇招く
KWATは中国による「一帯一路」構想に基づくミャンマー国内で道路建設、整備が住民へ人権侵害事案を引き起こした例として、2022年10月に起きたカチン州パカンでの国軍戦闘機によるコンサート会場への空爆を挙げている。
カチン州の少数民族武装勢力で、国軍と対決していた「カチン独立軍(KIA)」が住民を招待して開催していたコンサート会場が空爆され、著名なカチン族の歌手を含む170人が死傷した。
この空爆の前日に国軍は周辺地域で最も高度があり、戦略拠点としてKIAが制圧していた道路を奪還しようとする作戦を実行し、失敗していたという。
この作戦失敗の報復措置としてコンサート会場への空爆が実行されたとKWATはみており、問題となった道路の拠点整備に関わった中国が間接的に国軍による空爆という人権侵害事件を引き起こしたと分析しているのだ。
KWATによるとカチン州とシャン州北部で2022年5月から2023年7月の間に実施された国軍の空爆による民間人の死傷者は約200人に達し、子供11人を含む61人が死亡している。
また同時期に軍政によって不当に逮捕され身柄を拘束されている民間人は441人に上っているとしている。
★中国に投資、インフラ整備中止要請
こうした中、KWATは中国に対して「人権が軍事政権によって軽視されている地域への投資拡大は国軍による人権侵害や残虐行為を加速させる懸念がある」として「人権問題がなんらかの解決をみるまで『一帯一路』構想によるミャンマーへインフラ整備、経済投資の拡大を一時中断するべきだ」と中国に求めている。
同時に国際社会に対し軍政による人権侵害事案への非難の声を一層高く上げ、経済制裁などを強化して軍政に圧力をかけることを求めている。
ウクライナへのロシアの軍事侵攻やパレスチナ過激派ハマスによるイスラエル侵入に端を発したイスラエル軍のガザ地区への空爆、地上戦闘などのニュースが連日報じられる中で、ミャンマー問題は忘れられようとしている現状で、軍政の最大の後ろ盾である中国の責任を問う今回のKWATによる報告発表は意味深いものといえよう。
トップ写真:中国・北京で開催される第3回「一帯一路」フォーラムに出席するため北京首都国際空港に到着したロシアのプーチン大統領(中国・北京 2023年10月17日)出典:Parker Song/Getty Images
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