現場からの医療改革推進協議会シンポジウム
Japan In-depth / 2023年11月22日 12時0分
特記すべきは、東日本大震災をきっかけに、福島にこのような人材が集ったことだ。坪倉教授は大阪出身で、東京大学を卒業後、いくつかの病院勤務を経て、2011年に福島に入った。セッション4の尾崎章彦医師は福岡、原田医師は大阪、セッション8の内山君は長野、セッション12の山本さんは大阪、そして最後の挨拶をする土屋医師は横浜出身だ。東日本大震災をきっかけに、福島に優秀な人材が集い、そして根付いたことを意味する。
セッション9の趙さんは、中国の北京生まれで、福島県相馬市で育った。福島県立相馬高校から東京外国語大学を卒業し、現在、福島県で研究者をしている。このように優秀な人材がUターンしたケースもある。
東日本大震災以降、福島には優秀な人材が集い、地元の人々と共に、新たなコミュニティを形成した。この地域は、東日本大震災・福島第一原発事故以降も、地震や水害、さらにコロナ禍などの試練に遭遇するが、このような試練を克服する中で、地域は実力をつけていった。その象徴がセッション9の「コロナワクチン評価研究」だ。
これは坪倉教授たちが、東京大学や関西医科大学などと共同で実施したコロナワクチンの免疫評価の研究の成果を発表するセッションだ。坪倉教授の研究チームは、福島県相馬市、南相馬市、いわき市、平田村の行政や医療機関と連携して、ワクチン接種者の免疫状態をフォローした。実は、このワクチンコホート研究は、国内はもちろん、世界でも有数の規模だ。世界から注目を集めており、福島が災害対策だけでなく、それ以外の領域でもトップレベルになりつつあることが分かる。
福島にこのような有機的ネットワークが構築されているのは、東日本大震災以来の経験の蓄積があるからだ。東日本大震災、原発事故後も、水害、地震、さらにコロナパンデミックなど、様々な困難を経験した。試練は人間を成長させる。福島は格好の事例だ。福島が、コロナ感染対策をリードするのも宜なるかなだ。
福島にご関心があるかたは、是非、今回のシンポにご参加頂きたい。マスコミが報じることがない福島の別の側面をご覧いただくことができる。
トップ写真:現場からの医療改革推進協議会シンポジウムのスタッフたち、2022年11月27日(筆者提供)
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