アメリカの感謝祭とタイタニック その1
Japan In-depth / 2023年11月22日 18時0分
柏原雅弘(ニューヨーク在住フリービデオグラファー)
【まとめ】
・ニューヨーク、今年は感謝祭・サンクスギビングのデコレーションをほとんど見かけない。
・どの店も、一刻も早くクリスマスモードに突入したい感が満載。
・消費者にどれだけ年末に向けておカネを使わせるかの加速が今年は頂点に来た。
アメリカでは11月の第4木曜日は感謝祭「Thanksgiving day(サンクスギビング・デー)」の祝日である。
今年は11月23日がその日であり、翌日は「ブラック・フライデー」と呼ばれる1年で一番の大安売りが謳われる日で、この日からクリスマス、ホリデーシーズンのスタート、一気に年末の雰囲気になる。各企業はこの時期の売上が1年の売上のかなりの部分を占めるため、毎年、かなり鼻息が荒い。
ニューヨークの秋は10月下旬のハロウィンがあって、11月下旬の感謝祭、そして12月のクリスマス、とつながる一連の流れがあるのだが、私がアメリカに来た90年代初頭は、それぞれのイベントに切れ目とけじめと人々の心意気がまだあったように感じられたものだが、年々、加速度的にその切れ目が無くなってきているように感じる。
以前は、感謝祭を迎える前にクリスマスの話をすると「野暮、無粋」と言われたものだが、今や野暮もへったくれもなく、例えば、私の家の近所の量販店ではハロウィン前から、もうクリスマス・ツリーやデコレーション用品が売られているし、ハロウィンが終わった瞬間、待ってました、とばかりにおもちゃ、家電などのギフトが並べられ始めた。
先日、一緒に散歩に出た息子がつぶやいた。
「どこ行ってもサンクスギビングの準備やって無いね」
そういえば、と気がついた。
今年は、街なかで感謝祭・サンクスギビング絡みのデコレーションをほとんど見かけない。
七面鳥や、秋の収穫をイメージさせるようなものが見当たらないどころか、地元のスーパーの店員はもうサンタの格好をしている。いくらなんでもやりすぎだろう、と思っていたら今日はなぜか普通の制服に戻っていたが、毎年恒例のクリスマス・ツリーのコーナーが道路に作られ始めていた。
▲写真:路上で販売される生ツリーはホリデーシーズンの風物詩
筆者提供)
感謝祭当日は、日本では馴染みが薄い七面鳥(ターキー)の丸焼きを各家庭で食すのが伝統、とされ、各スーパーなどには冷凍、もしくは半解凍された丸ごとターキーや、関連食品が並び、スーパーなどは売り込みに躍起になるのだが、今年は飾り付けやデコレーションが、かなり地味との印象がある。
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