アルゼンチン、ミレイ次期大統領の過激な主張は実行されるのか
Japan In-depth / 2023年11月27日 17時16分
さらに見逃せないのは、貿易・投資面での中国との関係。アルゼンチンにとって中国は重要な貿易パートナー。アルゼンチン国家統計局の資料によれば、中国は輸入面では最大の相手国、輸出面ではブラジル、欧州連合(EU)に次ぎ3番目である。昨年2月、フェルナンデス現大統領が中国の習近平国家主席と「一帯一路」構想への参加で合意して以後、中国からの投資や融資に弾みがついた格好。ミレイ次期大統領は「中国政府は暗殺者」と非難、中国とは取引しないと述べているが、中国と決別するのは容易ではないだろう。
■過激発言は選挙戦目当て?
実際のところ、ミレイ次期大統領が過激な政策を実施しようとしても大きなハードルが控えている。アルゼンチン議会で同氏の政治連合「自由前進」(AL)が少数派のためだ。上院で定員72議席中8議席、下院257議席中38議席を占めるにすぎない。11月の大統領選決選投票では、伝統的右派政党が左派ペロン主義政権の継続を阻止する目的でALに協力したが、今後ミレイ氏の政策を支持するかは不透明で、むしろ反対するとの予測が有力。実はミレイ氏自身、大統領就任後に‟変身”するとの見方もある。アルゼンチンの現地メディアの中には、ミレイ氏が選挙戦中、奇行や過激な発言を繰り返したのは有権者、とりわけ若者の注目を集めるためだったと報じているところもある。
ミレイ氏が元々は正統な「オーストリア学派」に属する経済学者で、過激な政策のリスクは十分承知しているので実施には慎重になるはずとみる向きもある。新政権下で外相就任が有力視されるエコノミスト、ディアナ・モンディーノ氏はミレイ氏の対中決別発言について「秘密性の高い中国との取引はしないというのが趣旨で、中国との関係を断ち切るという意味ではない」と強調している。12月10日にアルゼンチン大統領に正式就任するミレイ氏が果たしてどのような政策を打ち出すのか、各国マスコミの目が注がれることになろう。
(了)
トップ写真:アルゼンチン大統領決選投票に先立って選挙活動を終了するハビエル・ミレイ氏(アルゼンチン・コルドバ 2023年 11月16日)
出典:Tomas Cuesta / Getty Images
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