中国で子供にマイコプラズマ肺炎流行
Japan In-depth / 2023年11月30日 23時0分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
【まとめ】
・中国でマイコプラズマ肺炎に感染した子供の数が急増。
・北京市や天津市の病院では11月以降、過密状態が続いている。
・WHOは、中国に呼吸器疾患の増加と小児クラスター肺炎の報告に関する追加情報を要請。
今年(2023年)11月22日、世界保健機関(WHO)は、中国に対し呼吸器疾患の増加と小児クラスター(集団)肺炎の報告に関する追加情報を正式に要請した事を明らか(a)にした。
ここ数日、国内各地でマイコプラズマ肺炎に感染した子供の数が急増しており、「少数の家庭や学校のクラスで集団感染」が起きていると中国の公式メディアが報じている。そこで、WHOは、中国に更なる情報提供を要求した。
同肺炎は病原体がマイコプラズマであり、これは自己増殖可能な最小の微生物で、生物学的には細菌に分類(b)される。潜伏期は通常2~3週間で、初発症状は発熱、全身倦怠、頭痛などである。咳は初発症状出現後3~5日から始まることが多く、当初は乾性の咳だが、経過に伴い咳は徐々に強くなり、解熱後も長く(3~4週間)続く。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は、「中国は、WHOが異例の公的情報提供要請を行ったことを受け、国内の児童の間で発生した肺炎に関するデータをWHOに提供した。だが、これは公衆衛生に関する中国政府の透明性に対する疑問を新たに呈するものとなった」(c)とコメントしている。
昨年12月、中国はパンデミック統制解除を敢行した。その後、新型コロナの大流行を経験している。当時、WHO関係者は公式死亡者数に疑問を抱き、テドロス事務局長は中国政府に入院と死亡に対する迅速で信頼できるデータを報告するよう促している。
この冬、中国各地でマイコプラズマ肺炎が大規模発生しており、同時に、他の呼吸器疾患、インフルエンザ等も猛威を振るい、日増しに深刻になっている。そのため、特に、北京市や天津市の病院では11月以降、過密状態が続いている(d)。
多くの病院に人が溢れているが、患者の大部分は子供達である。北京小児病院の外来ホールは、連日、医療費を支払う子供達の保護者で混雑している。
小児病院の各診療科の点滴室、診療室はほぼ満室で、保護者が用意した折り畳み椅子に座って病院の廊下で点滴を受けている子供も少なくない。
X(旧ツイッター)では、小児病院の救急外来には2300人以上来ているが、同日午後4時頃に800番台までしか診察を受けていないと、治療を待つ一部の親が記している。
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