ネットの闇はいつ晴れる(下)こんな日本に誰がした 最終回
Japan In-depth / 2023年12月4日 7時0分
私は、そのこと自体を否定するつもりは毛頭ない。日本が平和である証拠で結構なことだ。ただ、たしかに可愛らしい人だが、肖像権の問題がいささか気にはなった。
実は、肖像権というものを定めた法律は存在せず、単に日本国憲法の「幸福追求権」を援用して、同意なしに写真撮影や公表をされない権利、という曖昧なものでしかない。よく、著名人には肖像権などない、と思い込んでいる人がいるが、そのようなことはない。反面、写真と共に当人に不利益をもたらすようなことを公表すれば名誉毀損になり得るが、写真の公開それ自体は違法行為には当たらない、との共通認識があることも、また事実だ。
ここで見るべきは、マスメディアには報道の自由があるのに、動画投稿者にはそれがないのか、という議論だ。実際に私人逮捕系の問題に絡んで、ネットでそうした問題提起をした弁護士もいた。
これについて私は「半分だけ同意」であると言わざるを得ない。
たとえば、岡山県に陸上競技で名をはせている女子高生がいる。
今年1月、全国都道府県対抗女子駅伝に、中学生ながら(4月に進学)岡山県代表として出場。3区(3㎞)で17人抜き・区間新記録(9分2秒)を達成して日本中を驚かせた。
今やすっかり有名になったが、彼女は芸能人でなくアスリート、しかもまだ高校1年生だ。
前述のダンサーの女性についても、複数のサイトが立ち上げられて、本名からなにから、様々なことが書き立てられているが、引き写す意味などない。なので、公平を期すために彼女の名前も伏せておく。
論点はそこではなく、選手として図抜けている上に、ハーフの美少女であったことから、たちまち報道が加熱し、ついには「友人知人にまで迷惑が及ぶ」事態を懸念して、別の大会への出場を見合わせざるを得なくなってしまった。同級生の自宅にまで押しかけたメディアまであったという。
前回述べたように、私人逮捕系を称する投獄ゴロツキ、もとい、煉獄コロアキなる人物は、本当は「転売ヤー」でもなんでもなかった女性を人違いで犯罪者扱いした。
これで思い出されるのは、1994年に長野県松本市の住宅街で起きた、世に言う松本サリン事件である。
ご記憶の読者もおられようが、これがオウム真理教の藩校であったことが明るみに出たのは後の話で、当初、第一通報者であった会社員の男性に疑いの目が向けられた。農薬を自分で調合しようとしたところが、誤って猛毒のガスを発生させたのではないかと。
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