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習政権、社会主義路線を堅持するか【2024年を占う!】国際: 中国経済

Japan In-depth / 2023年12月19日 23時0分

習政権、社会主義路線を堅持するか【2024年を占う!】国際: 中国経済




澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】





・中国では、IT業界、ゲーム業界、教育産業等への厳しい規制が敷かれた。





・不動産分野も厳しい状況。





・習近平政権、社会主義路線を疾走するのか「改革・開放」路線を復活させるのか注目。





 





周知の如く、近年、習近平政権は中国経済の低迷に喘いでいる。習主席が「改革・開放」を放棄し、社会主義路線へ回帰(a)した。これが、今の中国経済の停滞を招いた最大の原因ではないだろうか。民間部門が独立した権力の中心になりかねないという習主席の恐れに根ざしていると考えられよう。





将来性のあるIT業界(b)、ゲーム業界、教育産業等への厳しい規制が敷かれた。中国共産党の圧力が大きく、成長産業の発展が阻害された。





他方、中国恒大(一時、GDPの2%を稼ぐ)と碧桂園(かつてのナンバー2)等の不動産開発会社が事実上、経営破綻した(「シャドーバンク」の雄、中植グループも経営破綻している)。





直接的には、新型コロナ蔓延の影響が大きかったかもしれない。しかし、もともと北京の不動産産業への過度の依存という発展戦略(c)自体、問題を孕んでいたのではないだろうか。





昨2022年6月、世界銀行による中国不動産分野の分析によると、先進国の不動産投資の割合は5%で、10%以上の場合、“奇形”だという。





だが、中国は2003年の3%から2014年には14.8%になり、2021年でもなお12.9%になる見込みだという。地方政府にとって不動産開発とは、土地の囲い込みと売却であり、運用が簡単ですぐに収益が上がり、しかも赤字にならない。政府は収入を得、役人はリベートを得、開発業者は利益を得、国民は住宅を入手できる。





そのため、中国では過去数十年にわたり不動産開発ブームが巻き起こった。同国の経済成長の25%は不動産とそのサプライチェーンにおける様々な活動からもたらされ、政府歳入の30%は不動産から、住民の富の88%は不動産からもたらされている。





けれども、問題は地方政府が都市開発プロジェクトに資金を供給するに当たり、融資調達平台(裏書のない「地方政府融資プラットフォーム」)を通じて多額の借入れを行っている(d)ことにあるのではないか。





現在、地方政府の総債務対GDP比は45%で、中国全体の債務を考慮すると、2027年にはGDP比149%に上昇し、イタリアの141%を上回ることになる。





だが、昨今、地方政府は主な収入源である土地利権が枯渇し、債務返済に苦しんでいる。実際、IMFの推計によると、「地方政府融資プラットフォーム」の30%は政府の支援なしでは存続できないという。





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