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「北」の核開発と韓国の保有論で緊張か 【2024年を占う!】国際・朝鮮半島 

Japan In-depth / 2023年12月22日 17時0分

 


■ 食糧不足解消に十分な予算、ミサイルにつぎ込む


北朝鮮指導部が派手な最新兵器の開発に憂き身をやつす一方で、制裁による経済疲弊によって、国民は慢性的な食糧、物資の不足に悩まされている。


新型コロナ・ウィルスの蔓延を防止するために北朝鮮は2023年、中国との国境を封鎖した。


それ以来、中国からの食糧、農産物の生産に必要な肥料、機械の輸入がストップしたままだ。


20年のGDPはマイナス4.5%、21年はマイナス0.1%というデータもあり、深刻な危機が続いている。


国連の報告によると、首都平壌でも食糧不足で死亡する人が少なくなく、韓国との軍事境界線に近い比較的裕福な開城市でも連日数十人の餓死者が出ているという。


ミサイル開発に投入された費用は22年1年間だけで、5億ドル(620億円)にのぼるという。それだけの予算があれば、1年間の穀物不足を補うことに十分といわれるほどの額だ。


 


■ 体制維持と攻撃されるという「パラノイア」


国民の塗炭の苦しみを無視して、金正恩が核開発を続けるのは、自らの世襲体制を存続させるために、アメリカ、韓国からの〝攻撃〟を抑止する必要があるからだ。


韓国、米国がいま直ちに攻撃を仕掛ける前兆がないなかで、脅威をあおるのは「ある種のパラノイア」(アメリカの朝鮮半島専門家)であり、国民に、外部の脅威が強いことを強調して、不満を抑える意図だ。


 


■ 韓国の核武装論は朴正煕政権から


韓国内における核武装論の台頭には、こうした背景、事情があるが、その議論は、いまに始まったわけではない。


1960年代―70年代、朴正煕政権時代に極秘裏に検討されたことがある。


アメリカのカーター政権(当時)が、在韓米軍撤退を公約に掲げていたため、韓国内では、北朝鮮が攻撃してきた場合、米国は信頼できないという〝見捨てられ論〟が広がっていた。脅威に備えるために、自前の核兵器が必要という判断に傾くのは自然な流れだった。


この時は米国の説得もあって現実になることはなかったが、その後も、絶えることなくくすぶり続け、昨年、韓国内のシンクタンクが、「核武装を支持する人が60%を超え、反対は30%台にとどまる」というい調査結果を公表したのを契機に、論議が再燃した。


年明けの1月、尹錫悦大統領が、「北朝鮮の挑発がさらに激しくなった場合」という前提条件ながら、「(米国による)戦術核兵器の配備や独自の核兵器が必要になる」との考えを示すに至って、一気に議論が沸騰し始めた。


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