1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

規制厳格化、新移民法で揺れるフランス

Japan In-depth / 2023年12月27日 21時0分

そのため、現在のように国外退去命令が出されてもすぐに実行されない状態、もしくは問題があるとわかっているのに国外退去命令自体を出せない状態から抜け出すことを目標にしていた。近年、不法滞在者によるテロや事件が定期的に起こっていたことも影響している。反対にフランス国内で人材不足が深刻な分野で働いてもらえる人々を迅速にフランスで働ける環境を作りだすことにも重点が置かれている。それがダルマナン内務大臣が呼びかけていた「追放すべき人を迅速に追放し、歓迎すると決めた人たちをもっとうまく統合していきましょう」というフレーズだ。





しかしながらこの二本柱の政府案は、上院で審議されることにより厳格化した。上院は共和党などで構成する右派が過半数の議席を占めるため、右派の意見が反映されやすかったのだ。





具体的には、家族呼び寄せ規則の厳格化や、不法滞在者でも医療が受けられる国家医療援助(AME)を取りやめ緊急医療援助(AMU)に切りかえること、また、親の国籍を問わず出生した場所がフランス国内であれば国籍を自動ではなく申請が必要になるように変更すること等だ。





上院で採択された法案を、左派は「歴史上、移民に一番冷たい移民法」と批判した。その批判の行きついた先が国民議会での否決だったのだ。しかしながら否決され合同委員会で話し合いが行われたことにより、最終的には上院が出した移民法案よりもさらに厳しい内容の法案が採択されることとなった。政権側が右派の支持を得るため外国人への福祉給付金支給の条件厳格化などを盛り込んだためである。





だが、採択された法案に対するフランス国民の満足度は高い。BFMTVのエラブ調査の結果では、質問を受けたフランス人の70%が移民法案に満足していると答えた。またそのうち43% は、バランスが取れていると評価している。





◼︎ より安全で魅力ある人材が集まるフランスに





フランスには、自国が全く戦争状態ではないのにもかかわらず亡命と偽って来る入国者が多くいる。マクロン大統領はテレビに出演し、不法移民に対処できない状態はまったく効率的ではないと説き、今回の移民法の必要性を説明した。しかしながら、留学生に求められた「保証金」については批判している。よりよい人材をフランスにひきつけるためにもフランスに留学するハードルをあげるべきではない。大統領がこのように採決された法案に対して批判することは異例であるが、それほど魅力ある人材、必要な人材がより多くフランスに集まることを重要視しているからだ。





この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください