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脱北のリアルを知る ドキュメンタリー映画「ビヨンド・ユートピア 脱北」で知る北朝鮮

Japan In-depth / 2024年1月7日 23時0分

▲写真 脱北した老婆と幼い子ども2人を含むロ一家 © TGW7N, LLC 2023 All Rights Reserved





キム牧師が支援してくれるからといって、ロ一家の脱北が容易になるわけではない。中国やベトナム、ラオスは脱北者を難民とは認めないために、見つかれば北朝鮮へ強制送還されてしまう。いつどこで計画がバレたり、ブローカーに裏切られたりするかわからない。一刻も早く、韓国への入国が確約されるタイに到着しなければ、最悪の場合、殺されてしまうかもしれないのだ。





事実、子どもは「死にたくない」と怯えながら涙を流す。幼い頃から授業の一環で粛清の現場を見せられている子どもにとって、「死ぬ」や「殺す」といった言葉は比喩や誇張表現ではない。ロ一家は、ただひたすら生きたいだけだ。怯えることなく、温かい布団の中で目を瞑り、朝日を浴びて体を起こし、食べ物を口に頬張る。そんなささやかな幸せを噛み締めて家族で笑いたいのだ。そのために、一家は韓国を目指す。





■脱北に成功したロ一家と失敗したリ・ソヨンの息子





最終的に、ロ一家はタイに到着し、韓国へと亡命を果たす。だが、『ビヨンド・ユートピア 脱北』にはもう一つの悲しい人生も描かれている。それが、息子を北朝鮮に残してひとりで亡命した母親 リ・ソヨンの物語だ。









▲写真 息子を北朝鮮に残してひとりで亡命した母親 リ・ソヨン © TGW7N, LLC 2023 All Rights Reserved





ソヨンの息子も脱北を試みるが、中国でブローカーの裏切りにあい、当局に通報されてしまったのだ。最悪の場合、北朝鮮の強制収容所に収監されることとなる。ソヨンの嘆きと悲しみが画面いっぱいに映し出される。ただ、生きて会いたいという願いさえ叶わない現実を突きつけられ、試写会場がシンと静まり返る。時折、鼻を啜るような音すら聞こえた。 





■脱北が何たるかを収めたカメラたち









▲写真 子を背負い険しい山道を進む脱北者 © TGW7N, LLC 2023 All Rights Reserved





脱北者の経験を綴った作品はこれまでにも作られてきた。だが、それらは脱北に成功して、ある程度落ち着いた人々によるものばかりだ。『ビヨンド・ユートピア 脱北』が他と異なるのは、リアルな脱北を追っていること。そのためには状況に応じて様々なカメラが使い分けられた。









▲写真 インタビューを受ける脱北者 © TGW7N, LLC 2023 All Rights Reserved





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