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年越しの風情くらいは残したい 続【2024年を占う!】その5

Japan In-depth / 2024年1月20日 23時0分

百八回というのは、人間の煩悩の数であるとされる。





どうして百八なのかについては諸説あるが、四苦八苦という熟語から来ている、という話を聞いたことがある。





四苦(4×9)八苦(8×9)を合計すると108というわけだ。





小学生の頃の話だが、当時『巨人の星』(梶原一騎・作 川崎のぼる・画 講談社)という劇画が人気で、その中に、





「野球のボールの縫い目もちょうど108なのだ」





という台詞があった(星一徹・談)。ほんとかよ、と思って友人とわざわざ数えてみたところ、本当だったので感動したのを覚えている。なんでも、もともと米国の規定で116だったものが、縫い目の幅が狭すぎてバッチングの衝撃で切れやすいことから改めたそうだ。





後半は成人してから仕込んだ知識であるが、煩悩まみれのスポーツにふさわしい、などという与太話はさておき、年越しの行事として、いわれのあることだし、それを風情ではなく騒音だと受け取るのは、第三者がとやかく言うのも野暮かも知れぬが、いささか寂しいと思わずにはいられない。





英国ロンドンでは、トラファルガー広場でのカウントダウンが恒例だった。





元旦の午前零時になると、一斉にハッピー・ニューイヤーの声が上がり、相手構わずキスをしてよい風習なのである。これも一部の人から見たら、公開セクハラになるのではないか。





横浜の山下公園で年を越したこともあるが、やはり元旦の午前定時に、停泊中の船が一斉に汽笛を鳴らし、近隣のビル群がライトアップされる。すぐ近くの中華街では、そこかしこで爆竹が鳴らされる。除夜の鐘がうるさいのなら、あれはどうなのだ、という話であろう。





世知辛い今の世で、年末年始くらいは、もう少しおおらかな気持ちで過ごしたいものだ。





(つづく。その1、その2、その3、その4)





トップ写真:東京の新年(イメージ)出典:franckreporter/GettyImages




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