バイデン政権の対外政策の欠陥とは その5(最終回)日本にも迫る危機
Japan In-depth / 2024年1月28日 17時0分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・台湾有事、日本にとって重要なのは米軍が介入する場合。
・日本、米の対中抑止に協力していく以外に存立の道はない。
・核という要素を除外しないで、日本自体が抑止力を強めていくことが必要。
―― さて、そうしたなか、日本にとって懸念されるのは「台湾有事」です。
古森義久 台湾有事について少し具体的に述べますと、中国が台湾に軍事攻撃をかけた場合、アメリカが軍事的に介入するかどうかという問題がまず前提としてあります。バイデン政権も含めて、歴代アメリカ政権の政策だと、介入するかどうかはわからない。台湾関係法は台湾海峡の平和と安定はアメリカにとって重要であり、台湾防衛のために必要な兵器を供与し続けると書いているけれども、米軍が軍事介入するかどうかは明記していない。「戦略的曖昧性」と呼び、あえて曖昧にしておくことで中国に対する抑止力になると考えている。
それでも、日本にとって重要なのは台湾有事に米軍が介入する場合です。その際、日本にとって一番極端なオプションとして理論的には在日米軍基地を使わせないこともあり得る。けれども、そうなるとアメリカの軍事専門家のほとんどは日米同盟が終わるとみています。
一方、最近はアメリカ側からの日米同盟に対する期待は、かつてなく高まっています。台湾有事で自衛隊が前線で戦うことを期待しているアメリカ人は少ないでしょうが、少なくとも普通の同盟国として在日米軍基地を使わせて、米軍の後方支援はすることを期待している。きっと一緒にやってくれると。
しかし、いまの日本には、必ず基地を使わせるという議論はもとより、米軍の後方支援についても具体的な議論はなにもないわけです。その意味ではいまの日本は重大な危機に直面しているともいえます。国難と呼んでも大げさではない非常事態が襲ってくるかもしれないのです。
◾️「美しい誤解」の危うさ
―― 左翼には基地使用反対の声はありますが……。
古森 その意味で、アメリカ側には「美しい誤解」があるわけです。その虚構が露呈した時、「美しい誤解」のバブルが破裂した時、日本はやっぱりなにも協力しないのかというアメリカ側の反発というのは、きわめて大きいと思いますね。
米軍が日本の防衛にかかわらなくなったらどうなるか。尖閣諸島に中国軍が来たらすぐさま重大事態になる。米中対立が続くなか、日本はアメリカの対中抑止に協力していく以外に存立の道はないと私は思います。まさに国難がすぐそばまで、ひたひたと迫っているのです。
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