雪を守れ!スキー場の電力100%を再エネ化
Japan In-depth / 2024年2月5日 11時37分
これにより、CO₂の排出量を年間約8,000トン削減することができ、これは一般家庭約4,000世帯分のCO₂排出量に相当するという。
写真)ニセコ東急グランヒラフスキー場で、ゴンドラを動かす電力が再エネ100%であることを説明するボード 2024年1月8日 北海道倶知安町 東急不動産株式会社提供)
東急不動産はデベロッパーだが、再エネ事業に早くから参入していることで知られる。10年前の2014年から「ReENE(リエネ)」という事業ブランド名で再エネ事業を展開、太陽光発電所、風力発電所、バイオマス発電所など、2023年12月末時点で100事業、定格容量1,760MW(一般家庭約80,8万世帯分に相当)、CO₂削減量年間1,668,000トンという国内トップクラスの事業規模を誇る。
この東急不動産が運営する発電所から創出される再エネの「トラッキング付非化石証書」を、東急スノーリゾート7施設で活用することで、ゴンドラやリフト、レストランなどの使用電力を100%再エネ化しているのだ。トラッキング付非化石証書とは、再生可能エネルギーなどによる電力の環境価値を証書化した「非化石証書」に、どこで発電されたのかを示す情報を付与したものをいう。
図)スノーリゾートに再エネ電力を、トラッキング付非化石証書を使って供給する仕組み 出典)東急不動産株式会社
スノーリゾート100%再エネ化の他に東急リゾーツ&ステイは、「一般社団法人Proecto Our Winters Japan(POW)」と2023年10月に気候変動対策に関するパートナーシップを締結し、雪山を守る活動を推進している。
また、積雪を利用した発電の社会実装実験を、株式会社フォルテ、国立法人電気通信大学(榎木光治研究室)と共同で行っている。この「積雪発電」は温度差を利用して発電するスターリングエンジンを使う。今回高温熱源には、バイオマスボイラーを使った。東急不動産がバイオマスボイラーの熱を自社ゴルフ場大浴場の熱源として利用している事例から、今回、実験用に別のバイオマスボイラーを準備したものだ。
冷温熱源は雪だ。廃棄する熱エネルギーで融雪できることが今回実証された。雪国は除雪に莫大なコストをかけている。しかも除雪車などは化石燃料で動くためCO₂を排出する。積雪発電の高温熱源に再生可能エネルギーを使えばグリーンな電力を作る事ができるし、廃熱を融雪に使える。エコキュートや燃料電池などと組み合わせれば、お湯も電気も作る事ができ、分散化型電源としても期待できる。またシステムとして小さなプレハブ程度の大きさなので自然災害の被災地などでも活躍しそうだ。
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