なぜ逃げ切りを許したのか(上)失敗から学ぶことは多い その1
Japan In-depth / 2024年2月8日 17時3分
彼は1974~75年に起きた連続企業爆破事件の一つに関与したとして、爆発物取締罰則違反容疑で指名手配されていたが、1977年に日本赤軍が引き起こしたダッカ日航機ハイジャック事件で、拘留中だった共犯者が「超法規的措置」によって解放され、そのまま海外に逃亡してしまったため、公訴時効は一時停止していた。しかし、その共犯者の一人が後に身柄を拘束され、判決が確定したことから、あらためて2029年には公訴時効になる予定であったという。
いずれにせよ、東アジア反日武装戦線の複数のメンバーが、日本赤軍に合流したことから、桐島聡容疑者も、おそらく海外にいるのではないか、と見る向きが多かった。公安の元捜査員も報道番組の中でそう証言している。
しかし事実は、すでに大きく報じられた通りで、神奈川県藤沢市の建築会社に40年近く住み込みで働いていたのだとか。
「内田洋(うちだ・ひろし)」という偽名を用い、行きつけの飲食店もあって、従業員や常連客からは「うっちー」と呼ばれていたそうだ。この店ではライブが行われることもあり、口ひげを生やした当人が、最前列で踊りながら、バンドに
「いいよー」
などと合いの手を入れ、盛り上げている動画まで公開された。
彼の手配容疑や「潜伏生活」について、肯定できる要素はなにひとつないのだが、
(今時こういうことが、できるものなのだな)
などと、妙な具合に感心させられたことも、偽らざるところである。
次回この問題をもう少し掘り下げてみたい。
トップ写真:東京都警視庁(2020年1月23日 東京)出典:y-studio/Getty Images
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