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どうした「ものづくりニッポン」 失敗から学ぶことは多い その6

Japan In-depth / 2024年2月24日 23時0分

ここでひとつ、忘れていただきたくないのは、株や不動産の取引というものは、それ自体がなにかを生産するわけでもなければ、大勢の人を楽しませるわけでもないということだ。バブル(泡沫)とは言い得て妙なので、絵に描いた餅よりも現実味のない「富」に、当時の日本人はまるっきり目がくらんでいた。





その後なにが起きたかは、これまたすでに語り尽くされた感がある。景気が加熱することを憂えた日銀が、不動産取引の総量規制や、融資実態の詳細な報告を求める政策に、再度舵を切ったために、バブル景気は崩壊。その後「失われた10年」「20年」「いや30年だ」などと言われる、長期の不況に突入したのである。





私見であるが、この事態から日本の金融業界が、なにも学ばなかったわけではなかった。





2008年に起きた、世に言うリーマンショックに際して、日本の金融界が受けた打撃は、世界的に見て少ない方にとどまった。バブルの教訓から、住宅ローンを債券化して売りさばこうなどという商法は、危険極まりないと考え、購入を手控えた金融機関が多かったのだ。





しかしその一方では、バブルとその崩壊について、政府・日銀の経済政策の誤りを厳しく追及するのではなく、むしろ、英国のような「ゆとりの社会」を目指すべきであるとか、年収が低くても楽しく暮らせる、といった声がメディアや出版界でよく聞かれるようになってきた。





そうした意見もあってよいのだが、一部の企業人は、品質向上に真摯に向き合わないことを「ゆとりある会社」「新しい働き方」などと、考え違いをしたのではあるまいか。





年初来、ダイハツや豊田織機(トヨタの親会社である)で、検査における不正が発覚し、ダイハツでは経営陣が刷新されることとなった。





メーカーではないが、大手中古車販売業者のビッグモーターでは、保険金詐欺の事例が相次いで発覚し、こちらも経営陣の交代が取り沙汰されている。





そのような中で株価の上昇を喜んでいて、よいのだろうか。





前にも述べたことがあるが、円安が進めば輸出企業の利潤は増え、帳簿上の業績は上がる。この結果、諸外国の投機筋にとって日本株は「割安感がある」と見られるようになり、カネが集まって株価が上がる。





その一方で、本当に肝心なはずの、製品の品質や商道徳がないがしろにされているのでは、日本の製造業の未来は極めて暗いと考えざるを得ない。





もちろんこれは「このままでは……」という前提で語られることではあるが、日本製品に対する諸外国の消費者の信頼を裏切ることだけは、なんとしてもやめて欲しい。





トップ写真:東京ビッグサイトにてダイハツの車が東京モーターショーで展示される(2017年10月25日)出典:Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images




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