1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

NHK、4月から午後にワイドショー 民放は戦々恐々

Japan In-depth / 2024年3月3日 11時13分

よく、ワイドショーは制作費を安く抑えられる、とまことしやかに言われるが、筆者はそうは思わない。何時間ものワイドショーを作るにはかなりの数のディレクターを抱えなくてはならない。一人のディレクターが担当できるのは1テーマ、頑張って2テーマがせいぜいだ。それも尺が短め=柔らかいネタであればの話だ。もし10分以上の尺を割くような大きなテーマなら、担当ディレクターは2名以上で担当する。場合によっては別のクルー(ディレクター、カメラマン、音声ら)がリポーターを連れて現場に向かって取材もしなければならない。1時間の番組を作るだけでも、ディレクターはかるく10名以上は必要なのに、3時間となれば、何十人もの人間がいないと制作できない。それも毎日、休み無く、だ。どうスタッフを確保するかにも頭を悩ますことになりそうだ。





だからといって民放もあぐらをかいているわけにはいかないだろう。民放公式の同時配信プラットフォーム「Tver」は好調だが、ニュースでNHKプラスと伍していくのは厳しい。従来以上に視聴者が飛びつくようなネタを取り上げ、「民放ならでは」のワイドショーを極めるしか道はない。





いずれにしても、NHKが午後の時間帯で視聴率を民放から奪うことができるのかどうか、4月からの大きな注目点だ。





■ 理解増進情報





もう一つ、今回の放送法改正案のポイントに「理解増進情報」の問題がある。理解増進情報とは、NHKがネットで提供するオリジナル無料コンテンツだ。改正案では、この理解増進情報を廃止する事が盛り込まれた。新聞協会などは「理解増進情報は公正な競争や受信料制度との整合性から問題がある」として、廃止を求めていた。





例えば、NHKの「政治マガジン」はこの理解増進情報のひとつと見られているが、確かに情報量が豊富で、見やすく工夫されており、少なくとも新聞のサイトより魅力的だ。しかし、NHKがこうした文字情報を無償で提供し続けたら、新聞を読む人がいなくなってしまうという新聞側の危機感も理解できる。





一方でNHKの現場の記者からは、「放送に出せなかった内容を文字にしてWEBに出せることがモチベーションになっている」という話も聞いた。彼らにしてみると民業圧迫とか言われても・・・ということらしい。





無料でNHKが文字情報を提供するのが民業を圧迫するのなら、NHKが提供する情報を規制するのではなく、情報が必要な人に課金すればいいだけではないのか?事実、新聞のビジネスモデルはそうだ。





伝統メディアを保護する、という発想では無く、情報を知る権利を守るために多様なメディアが共存できるシステムを構築することが必要だろう。どうしたらそれが可能になるのか。巨大プラットフォーマーが無償でニュースを配信するシステムも含め、メディアのあり方を見直す時期に来ている。事実その動きは海外で活発化している。





これまでもNHKの受信料に支えられたビジネスモデルについては国会で取り上げられてきた。インターネット時代に即した公共放送のビジネスモデルとはどうあるべきなのか、情報の受け手である私たちこそ、考えるべき問題だ。





トップ写真:NHK放送センター 出典:Bernard Annebicque/Sygma/Sygma via Getty Images




この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください