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ロシア軍、量で押し切るか(上)3年目に入ったロシア・ウクライナ紛争 その1

Japan In-depth / 2024年3月18日 19時18分

東部の一部地域では、昨年末までにウクライナ軍の防衛拠点を逆に攻め落とすなどの戦果を挙げて、これでプーチン大統領の再選が確実になった、などと喧伝された。





とは言え、ロシア軍が払った犠牲も大きく、英国防省の推計によれば、侵攻開始以降24万~29万人が死傷している。戦死もしくは軍務に復帰するのはまず不可能な重傷者だけでも15~19万人に達するという。





ウクライナ国防省の発表ではさらに多く、27万7660人が死傷したとしている。





昨年12月12日付ロイター電は、米軍関係者からの情報として、ロシア軍の死傷者は31万5000人に達すると発信した。侵攻直前に動員されて、ウクライナとの国境に展開していた兵力がおよそ38万人なので、およそ83%を喪失した計算になる。





一方、同じくウクライナ国防省は、今次の侵攻により3万1000人が命を落としたと発表した。大部分が同国軍の将兵であることは言うまでもない。





一見すると、ロシア軍はウクライナ軍の10倍もの犠牲を払って、それでも戦略目的を達成できていないことになるのだが、そもそも総人口がまるで違うということを忘れるべきではない。ロシアの人口は、2023年1月1日時点でおよそ1億4645万人。世界9位である。





対するウクライナは、侵攻開始前の2021年の時点でおよそ4159万人。ちなみにこれは、ロシアが2014年以来実効支配しているクリミア半島のそれを除いた(同地の人口は235万人ほど)数字になる。





さらに言うと、ウクライナは1992年のソ連邦崩壊後、もっとも人口が減少した国のひとつに数えられている。前世紀から少子高齢化が進んでいたことが最大の理由で、徴兵可能な年代の国民がそもそも少ない。





つまり分母がまるで違うので、単純にロシア軍の犠牲はウクライナ軍の10倍と断じることはできない。いすれにせよ、戦闘がこれ以上長期化した場合、戦闘の犠牲に加えて、国外に脱出した人々の帰国が著しく困難になり、侵攻前の3分の2程度にまで人口が減ることが懸念されている。





念のため述べるが、ロシア軍が大いなる犠牲を払っていることは争えない事実である。単純にウクライナ軍の10倍も犠牲が大きいと見るのは早計に過ぎる、というだけの話だ。





しかしながらここへ来て、このままではウクライナは敗戦の憂き目を見る、との観測が流れるようになってきている。





これも本連載で報告済みの事柄だが、昨年末の段階では、ロシア軍の砲弾不足は深刻で、北朝鮮から緊急に供与を受けたほどだ。見返りに食料援助を約束して。





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