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深刻な東北地方と首都圏の医師不足 西日本から東日本への医師の移動が必要

Japan In-depth / 2024年3月25日 17時3分

話を戻そう。図2で注目すべきは、人口当たりの医学部定員数が同レベルでも、医師数には大きな差があることだ。例えば、東京都と岩手県、青森県、山形県の医学部定員に大きな差はないが、東京都の医師数は、岩手県、青森県、山形県の35%~49%ほど多い。これは、東北地方の大学を卒業した医師が、ネットで東京都に流入していることを意味する。





興味深いことに、関西圏ではこのような傾向は認められない。大阪の経済圏とされる近畿地方と徳島県において、医学部定員と医師数は綺麗に相関する。東北地方で顕著な医学部定員の割に医師数が少ないという現象は認められない。





九州で福岡県、熊本県、鹿児島県への集中、中国地方で岡山、広島への集中傾向が認められるが、東日本の東京一極集中ほど、極端なケースはない。東日本では、東京の医師数を充足するために、他の地域が「犠牲」になってきたという見方も可能だ。





図3は東日本と西日本を色分けしたものだ。東日本と西日本では状況が全く違い、東日本で東京が如何に特殊な状況かお分かりいただけるだろう。注意すべきは、西日本と比べた場合、これでも東京の医師数が決して多いわけではないことだ。これまでは、東日本で医師を養成しても、東京に吸い寄せられた。この状況で東北地方の医師不足を改善するのは難しい。









▲図3 2022年人口10万人当たりの医師数と医学部定員数(医療ガバナンス研究所作成)





では、福島の医師不足は、近年、改善しているのだろうか。図4をご覧いただきたい。福島県の医師数は、東日本大震災直後の2012年の調査で、10.2%の大幅減少となったが、その後は順調に増加している。特に2020年からは6.3%の大幅増だ。これは、福井県、高知県、和歌山県についで、全国で4番目に高い伸び率だ(図5)。









▲図4 福島県、人口10万人あたりの医療施設従事医師数の推移(医療ガバナンス研究所作成)









▲図5 人口10万人あたりの医療施設従事医師数2020年から2022年の差(医療ガバナンス研究所作成)





これは短期的な現象ではない。2010年と比べた増加率でも全国で18番目だ(図6)。東日本では静岡県、栃木県、秋田県、山梨県についで多い。東日本大震災の被災地の中ではトップである。東日本大震災の悪影響を克服しているといっていい。









▲図6 人口10万人当たりの医療施設従事医師数2012年から2022年の差(医療ガバナンス研究所作成)





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