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ODA70周年を機に対中供与の大失態の反省を その4 日本の援助が軍事インフラ建設に

Japan In-depth / 2024年3月29日 18時0分

高速道路が軍事貢献といわれても日本側としては心外だっただろう。高速道路の本来の目的は社会全体への寄与であり、人間や物資のより効率的な移動を通じての貴重な経済効果をもたらすはずだからである。





だが高速道路の軍事的効用を中国側が喜々として宣伝したのだった。





1999年はじめに人民解放軍系の官営新聞「中国国防報」に「高速道路も国防の実力」と題する長文の記事が載った。人民解放軍南京軍区の首脳による論文だった。





同論文には「江蘇省の高速道路は重大な軍事利益を生んだ」という見出しもついていた。





内容は南京軍区の首脳が江蘇省内外で完成した南京・上海間や江都・広陵間の高速道路をみて「戦争が起きたら、どれほど大きな役割を果たせることかと感嘆した」という書き出しで高速道路の軍事効用を詳述していた。





同論文は南京軍区の兵団長が「200キロ離れた地点に大規模な軍隊を3時間で配置することはかつては夢だったが、いまは高速道路により可能になった」と感慨を述べたとも強調していた。





そのうえで同論文は中国の高速道路はすべて経済と軍事の両方の機能を有し、国防交通輸送体系に組みこまれているとも指摘していた。南京・上海高速道路も平時、戦時の両方の使用を予測して、以下の諸点が考慮されたという。





①軍事基地や軍用空港との連結





②道路や橋の砲弾、ミサイル被弾の際の強度





③平常の交通管制から臨戦態勢での軍事交通管理への即時切り替え





④道路の中央分離区分を即時、撤去しての爆撃機などの滑走路への転用





⑤沿道の6駐車場の即時の軍用ヘリ昇降場への転用





この記事はさらに「国際的には国民一人当たりの平均所得が年間1000ドル以下の国の国力では高速道路は建設できないとされているが、中国では高速道路の発展の速度はすばらしい」とも論評していた。そして中国の国民一人当たりのGNP(国民総生産)が年間700ドル程度なのに日本からの援助などにより高速道路を例外的に発展させてきた実績を称賛していた。





同記事は結びに人民解放軍南京軍区の謝海坤軍事交通部長の「平時、戦時を問わず軍隊が使える高速道路は貴重であり、軍人も高速道路の発展に尽くすべきだ」という言葉を紹介していた。





中国国防報の同記事はまさに戦争遂行能力の向上には日本の援助の主対象のインフラ建設、とくに高速道路の建設が不可欠なのだと強調していた。





これまで述べてきたように、日本の対中ODAの大部分は鉄道、高速道路、空港、港湾、通信網などのインフラ建設に投入された。中国全土の電化鉄道の40%、港湾施設の15%が日本のODA資金で建設されたというのだ。





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