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ボストン・ウェルネス通信 その7:そのサプリメント大丈夫!?

Japan In-depth / 2024年4月3日 11時0分

このような状況は米政府としても無視できず、現在では米食品医薬品局(FDA)のウェブサイトには、サプリメントの副作用、重金属の混入、未申告のアレルゲンや微生物汚染などの問題が頻繁に報告されています(3)(4)。





●薬でも食品でもないサプリメント





米国は訴訟大国。サプリメント業者に対する問題で、さまざまな訴訟が起きています。最近の例では、テキサス州の会社が偽ブランドサプリメントの流通の有罪を認め、450万ドルの罰金刑に同意しました。このサプリメントには、栄養成分として誤って表示された成分や、製品ラベルに記載されていない成分が含まれていました(5)。





米国はこんな状況になってしまった背景には、1994年に米国で成立した「栄養補助食品教育法(DSHEA)」があります。同法は、政治資金的にもサプリメント業界と強固な関係をもつ元共和党上院議員の後援により成立しました。この法律によって、サプリメントに対するFDAの規制は大幅に制限されています。





サプリメントは販売前にFDAの承認を必要としません。つまり、安全性や有効性、科学的根拠に基づくことを、証拠をもってFDAに証明する必要はありません。さらに、含まれる成分が副作用を引き起こすことが知られていても、製造業者は副作用について消費者に通知する必要はありません。こうしてサプリメントは、薬でも食品でもない位置付けとなりました。サプリメントのラベル表示の内容が正確かつ真実であること、安全であることは、製造業者や販売代理店の言うことを信じるしかないのです。





「この製品は栄養不足を助け、健康をサポートします」とか、「健康上の問題のリスクを低減します」などと表示することも、何の規制も受けずに可能です。ただし、同時に、「これはFDAによって評価されたものではありません。また、この製品は疾病の診断、治療、治癒、予防を目的としたものではありません」という「断り書き」は表示しなければなりません。また、仮に「特定の疾患または状態の治療、予防または治癒」などと表示すると、そのサプリメントは未承認薬ということになるので違法です。もちろん、安全でないことをFDAが発見した場合は、FDAは業者に警告を発するか、市場から製品を排除するなどの行動を取ることができます。しかし、これはあくまでも事後対応です。





一方米国では、1990年に成立した「栄養表示教育法」により、企業からの申請に基づき、FDAが認めたものについて食品全般を対象として健康強調表示が可能となりました。ただし、これはFDAの厳格な審査により、明確な科学的な根拠に基づいて専門家の間で合意が得られ、食品や栄養素を摂取したことで病気のリスクを軽減する可能性が認められた場合に限定されます。例えば、カルシウムの多い食品、脂肪の少ない食品や食物繊維の多い食品など、生活習慣病の予防に効果が報告されている食品です。その後、法律の緩和はあるものの、今日まで、食品の表示に関しては、サプリメントとは違って、FDAにより厳しく規制されています。





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