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プーチンの理性に期待する 「核のない世界」を諦めない 最終回

Japan In-depth / 2024年5月6日 23時0分

これに対して、アルゼンチンが突如部隊を上陸させ、占領したのである。原因は諸説あるが、最も有力なのは、不況に対する国民の不満を、対外戦争によって逸らそうとした、というものだ。





この報を受けた時のマーガレット・サッチャー首相は、ただちに機動部隊の派遣を決定。





慎重論(外交による解決など)を唱える閣僚に対して、彼女が言い放った、





「この内閣に、男は一人しかいないのですか」





との一言は、当時世界中のメディアで喧伝された。





いずれにせよ2ヶ月を経ずして英軍が凱歌を上げ、サッチャー首相は国民的英雄となったわけだが、もしも英軍の犠牲が予想外に大きく、その結果として核兵器を先制使用したりしていたら、その後のサッチャー人気はあり得ただろうか。





1990年の湾岸戦争でも、当時は世界第4位の陸軍国と称された、サダム・フセインのイラク軍が相手となるだけに、米軍を中心とする多国籍軍は、





「味方の犠牲(死傷者)が3万人を超えた場合、戦術核兵器の使用も視野に入れる」





と考えていたらしい。これは私が、英国情報部の元関係者から直接聞かされた話なのだが、他にめぼしいソースはないので、伝聞であることは明記しておくが。





ご案内の通り、この戦争は多国籍軍のワンサイド・ゲームで終わったのだが、原水爆こそ使われなかったものの、少々趣の異なる兵器が用いられた。





対戦車用の徹甲弾がそれで、この弾芯には劣化ウランが使用されている。この劣化ウラン弾が大量に炸裂したことから、戦場となったクウェート北部では放射能汚染が取り沙汰され、帰還兵の中からも被爆が疑われる、と訴える者が続出した。





私や清谷信一氏などは、当時からこの劣化ウラン弾も国際法で使用を禁ずるべきである、と訴え続けてきたのだが、遺憾なことに未だそうした動きは見られない。とは言え、核兵器を今すぐ全廃すべし、というのは現実的でないかも知れないが、できることからやるべきだ、との考えを変えるつもりはないので、今後も訴え続けて行く決意は揺るがない。





そして2003年にはイラク戦争が始まった。





この戦争の原因は、国連が求めてきた「大量破壊兵器の破棄」に関して、イラクが査察を拒否するなど非協力的であったことにある、とされた。





わが国において核武装を主張する人たちに問いたい。





核兵器を持つことは安全保障上有益であろうなどと、なにを根拠に言うのか。イラクなど、核兵器プロパーの問題ではないにせよ、大量破壊兵器を「持っている疑いがある」というだけで戦争を仕掛けられたのではないか。





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