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「つばさの党」逮捕は想定内? ネットが助長する政治の劇場化

Japan In-depth / 2024年5月19日 10時0分

このように、ネットに長けている一部の政党、政治家が自己の主張を拡散するのにそれを利用しているのが実態だ。しかし、国政の場で存在感を示せているかといえば、答えはNOだ。


 


■ 既存政党のネット音痴


 


一方で、旧態依然とした既成政党はネットの使い方が今ひとつだ。


 


インターネットが政治家の情報発信や選挙運動に解禁されてからまだ日が浅い、といってももう10年は経っている。だというのに、去年の東京都江東区の区長選挙で、元衆議院議員の区長候補を応援する地元選出の衆議院議員が、選挙期間中に公職選挙法で禁止されているyoutube広告を流した罪などで逮捕された。こんな初歩的なミスを与党の議員が犯すほど、日本ではネット選挙の習熟度は今ひとつだ。


 


今回のつばさの党の選挙妨害も、かれらは自身の活動が、公職選挙には抵触しないと事前に当局に確認した、と主張していた。今後は司法の場で、表現の自由と公職選挙法を盾に戦うはずだ。


 


つまり、既存政党がネットをどう使ったらいいのか、考えて法整備を行ってこなかった結果が今の事態を招いているともいえるのだ。


 


■ 政治の劇場化


 


政治を劇場化したのは古くは小泉純一郎元首相だろう。「自民党をぶっ壊す!」という小泉首相の絶叫に多くの有権者は熱狂した。ワンフレーズポリティクスという言葉もこのとき生まれた。2005年の郵政解散へとつづくのだが、その時はまだSNSは生まれたばかりで、使っている人はまれだった。


 


あれから20年弱。いまやだれもが発信できる時代となった。1億総メディア化した現在、ネットで自身の存在感を高める人物が出てきても何の不思議もない。政治の劇場化のハードルが下がったのだ。


 


つばさの党も、来る東京都知事選、その後に続く衆院選と候補者を出し、ネットを駆使して政党としての知名度をさらに上げ、究極的には国会に議席を確保する戦略だったと思う。


 


こうしたネットを使った政治の劇場化は地方都市でも起きている。人口わずか約2万7千人の広島県の安芸高田市の石丸伸二市長もその一人だ。議会を守旧派と位置づけ、徹底的に批判してそれをyoutubeで発信し、知名度を上げた。X(旧ツイッター)のフォロワー数は約31万人、市の公式ユーチューブチャンネルの登録者数は地方自治体としては異例の20万人超だ。


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