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「学歴詐称」以上の問題がある イスラム圏の教育事情について その1

Japan In-depth / 2024年5月19日 23時39分

しかしその後、大使館はイラク軍に包囲され、245人が強制的にバグダッドに移動させられ、うち215人は前述の「人間の盾」とされたのである。





当然ながら日本政府は人質解放に向けて動いた。





まずは、時の海部俊樹首相が、中曽根康弘元首相を特使としてイラクに派遣する決断を下し、そのための予備交渉を行うべく、佐藤文生・元郵政相がバグダッドを訪れた。





この時、通訳として同行したのが他ならぬ小池百合子・現東京都知事で、当時の肩書きは「ニュースキャスター・アラビア語通訳」というものであった。





ところが、佐藤氏らの一行がバグダッドに到着してから24時間も経たないうちに、大使館にSOSが入ったという。相手(イラク高官)のアラビア語がまったく分からない、と。





通訳がまともにできなかった原因について、彼女自身は、





「イラク訛りがよく聞き取れなかった」





などと語っていたそうだが、カイロ大学を出た人ならば、標準アラビア語が完璧に近いはずで、仮にも外交交渉の場で、そんな相手に方言でまくし立てる人がいるのか、という話である。このエピソードは、2020年に刊行されて話題を呼んだ『女帝 小池百合子』という本(石井妙子・著)でも少し触れられているが、私も関係者から話を聞いている。





具体的な経緯や外交官たちのリアクションについても、もっと詳しく聞きたかったのだが、これはどうやら、ないものねだりであった。





「30年後に彼女が東京都知事になって、林さんがそういう記事を書く、と予測できていれば、もっとちゃんと記録を取っておいたのですけどね。そもそも日本から来た通訳が使い物にならなかったというのは、それほど珍しいことでもありませんから」





だそうである笑。





標準アラビア語とは耳慣れない、という読者もおられようが、要は出身地に関わらずコーランを正しく唱えることができるようにと、アラビア語の専門学徒やイスラム法学者たちが、長い時間をかけて発音や文法を統一したもので、イスラム圏では小学校レベルから授業で学ぶ。





カイロ大学に話を戻すと、英国保護領であった1908年に、宗教教育委機関(=イスラム神学校)とは一線を画す、世俗的教育機関の総合大学として設立された。ただ、医学部や考古学部の歴史はもっとずっと古く、1908年というのは、現在の形態になった年、といったほどの意味であるらしい。





卒業するには、普通は4年。





実はエジプトの学制は小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年と、日本とまったく同じ「6・3・3・4制」なのである。





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