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「学歴詐称」以上の問題がある イスラム圏の教育事情について その1

Japan In-depth / 2024年5月19日 23時39分

このことは次回あらためて取り上げるが、ここにも小池都知事の「学歴詐称疑惑」の萌芽が見られる、ということは報告しておこう。





どういうことかと言うと、彼女自身が著書の中で、カイロ大学では1年留年した、と述べている。そもそも4人に1人は留年する、と言われるほどカリキュラムが厳しいと聞くが、その通りなら彼女は卒業まで最短でも5年はかかったはずで、1972年入学76年卒業、という触れ込みとはつじつまが合わない。





他にも色々な指摘がなされているのだが、以上を要するに、彼女の学歴詐称疑惑については「限りなく黒に近いグレー」だと見る他はなさそうだ。





そうではあるのだけれど、もっと重要な論点があるのではないか、と私は考える。





ひとつは、日本の学歴社会の問題。





日本人女性として初めてカイロ大学を、それも主席で卒業したと聞くと、政治家としての資質を問われる前に「すごい人」なのだと思われてしまいがちだ。





逆もまた真なりで、彼女がもし、政治家・都知事として申し分のない実績を残していたならば、





「選挙が近づくたびに学歴詐称疑惑が取り沙汰される」





などと揶揄されるような事態は、そもそも考えにくかったのではないだろうか。





次回は、エジプトの教育制度や最近の動向について見てみる。





 





【取材協力】





若林啓史(わかばやし・ひろふみ)。早稲田大学地域・地域間研究機構招聘研究員。京都大学博士(地域研究)。





1963年北九州市生まれ。1986年東京大学法学部卒業・外務省入省。





アラビア語を研修し、本省及び中東各国の日本大使館で勤務。2016年~2021年、東北大学教授・同客員教授。2023年より現職。





著書に『中東近現代史』(知泉書館2021)、『イスラーム世界研究マニュアル』(名古屋大学出版会)など。『世界民族問題辞典』(平凡社)『岩波イスラーム辞典』(岩波書店)の項目も執筆。





朝日カルチャーセンター新宿教室(オンライン配信もあり)で7~12月、博士の講座があります。講座名『紛争が紛争を生む中東』全6回。5/17より受付中。詳細および料金等は、同センターまでお問い合わせください。





トップ写真:衆院補選東京15区の候補者の応援に入った小池百合子都知事(2024年4月13日東京都江東区豊洲)ⒸJapan In-depth編集部




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