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離脱した元ミャンマー国軍大尉の葛藤 軍からの離脱を呼びかけるYouTubeチャンネル

Japan In-depth / 2024年5月25日 19時0分

群衆の中から女性が現れ、国軍に対し、侮辱的な言葉や罵声を浴びせた。すると上官の中佐は銃を彼女に向けた。





「一発目は外れましたが、二発目は彼女の胸を直撃したので即死でした」。上官からは死体を現場から持ち去るように命じられた。女性は地元バモー出身で武器も所持していなかった。





守るべき対象であるはずの民が目前で上官によって射殺される。今までに絶対的存在だと思っていた国軍への信頼が徐々に崩れ始める。





「私は、人々を守るべき兵士によって、人々が殺されるという事実に深く傷つきました。入隊以来、兵士の義務の最たるものは国民を守ることだと固く信じていたので、目の前で見た射殺はとても事実として受け入れることができませんでした」





軍を去る決意をしたが、大隊の副隊長という立場もあり、残る兵士たちのことを考えるとなかなか離脱には踏み切れなかった。





「15年いた軍を離れることは私にとってチャレンジでした」。国軍上層部はテッ・ミャッさんを含む将校、兵士らに極力、軍による民への暴力を伏せるようにしていたが、夫人のスーテッさんが毎晩、電話をかけてきては、軍による民主派弾圧の様子を知らせてきた。それでも躊躇逡巡する彼の肩を押したのは夫人だった。





同年6月に軍を去り、カイン(カレン)州の解放区に行き8ヶ月ほど過ごした後、現在居住するメソトに来た。





「当初、特に目的があって、ここに来た訳ではなかった。ただ、その間も仲間だった兵士たちを国軍から離脱させ、一刻も早く市民不服従運動(CDM)に参加してもらいたいと思っていた」









▲写真 国軍兵士らにYouTubeチャンネルを通し、離脱を呼びかける元ミャンマー国軍大尉のテッ・ミャッさん(4月30日、タイ北西部メソトにて、本田路晴撮影)





■ ソーシャルメディアを駆使しての離脱の呼びかけ





テッ・ミャッさんは、主に携帯電話で国軍に残る兵士らと連絡を取り合っていたが、メディアを立ち上げた方がより多くの兵士たちに呼びかけることができると自らのYouTubeチャンネル「Breaking Brainwashed(洗脳を解く)」を立ち上げた。





夫人のスーテッさんは兵士の妻たちの支援を目的とした団体「人民兵の妻たち」を立ち上げ、ソーシャルメディアを通し、夫の国軍からの離脱への理解とそれを全面的に後押しするよう訴える。二人とも離脱を考える兵士がまず、最初に相談するのが妻であることを自身の経験から知っているからだ。





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