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宗教教育と言語について(上)   イスラム圏の教育事情 その4

Japan In-depth / 2024年5月31日 17時0分

 だからと言って、アラビア語圏以外ではもっぱら「翻訳」に頼っているのかと言えば、それも少し違うので、たとえば日本ムスリム協会では、礼拝の際にコーランの一節を唱える際はアラビア語だが、説法は全て日本語、という具合になっていると聞く。


 


 興味深いのはイランの例で、この国はイスラム共和国と称しているが、公用語はペルシャ語である。地域によってトルコ語やクルド語も話されているが、これは少数民族の言語と位置づけられている。


 


 ペルシャ語とアラビア語とは、文字がほとんど同一である他に、発音がよく似た単語も多いのだが、文法などはかなり違うので、会話は成立しないそうだ。私はどちらも解さないので、これは専門家の受け売りであることを明記しておくが笑。


 


 そのようなイランであったが、1979年のイスラム革命以降、国策として宗教教育に重きを置くようになったことから、小学校から標準アラビア語を教え込まれるようになった。


 


 標準アラビア語については、シリーズ第1回でも少し触れたが、要は「コーランを正しく読むための言語」として文法や発音が統一されてきたものである。


 


 わが国に置き換えて考えたならば、小学校のカリキュラムに突如として漢文が追加されたようなものであるから、教えられる側としては、なかなか大変な話だろう。漏れ聞くところによると、陰で不平を言う児童生徒も少なからずいるらしいが、これもこれで無理もない。かの国で公然と宗教教育に対する不平など口にしようものなら、後でどのような災厄が降りかかるか、知れたものではない。


 


 個人的な思い出だが、ロンドンで暮らしていた頃、留学生や移民としてやってきた複数のイラン人と知り合った。その中の一人から、


「国内では誰もイランと呼ばないんだ。もっぱらペルシャだよ」


聞かされたことを覚えている。私は即座に、


「我々と一緒か。国内ではJapanではなくNipponとしか呼ばないからね」


と答え、それは面白い、と返された。


 


 しかし、その後色々と読んでみると、歴史的にはかの国の人たちはイラン(アーリア人の国という意味)という国名を好み、ペルシャというのは西洋風の呼び方であったようだ。


 


 古代において、かの地における政治経済の中心であったパールサという地名が、ギリシャ風にペルスィスと訛り、さらにローマ風にペルシャとなったとか。


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