三木武夫ばりの2枚腰、岸田首相、どう窮地を乗り切る
Japan In-depth / 2024年5月31日 23時0分
そうした見方をする人たちのなかには、ロッキード事件当時の三木内閣を想起するむきが少なくなかった。
1974年12月、金脈問題で退陣を余儀なくされた田中角栄首相の後を襲って就任した三木武夫氏は、76年に米国発で発覚したスキャンダルの解明に異常な執念をもやした。
写真)三木武夫首相(当時)
出典)首相官邸
米国の航空機メーカー、ロッキード社が自社機を売り込むために王族を含む各国の要人に賄賂をばらまいた。
日本では、あろうことか田中前首相が逮捕されるという事態に発展したが、三木氏があまりに真相解明に前のめりだったため、自民党内から「はしゃぎすぎ」などという批判が噴出、退陣要求が高まった。
しかし三木氏は、自らは身辺清潔で事件とは無関係であり、反三木の間で後継候補が一本化されていないことなどを見透かして退陣要求をはねつけ続けた。
しかし、〝二枚腰〟も長くは続かなかった。76年12月戦後初の任期満了選挙となった総選挙で敗北、退陣を余儀なくされた。
■ 岸田・三木両氏にみられる共通点は
三木武夫氏と岸田首相の共通点をみると、元首相率いる派閥は常時20人前後の小さい世帯、岸田派も総勢40数人で党内第4の小派閥にすぎないことがひとつ。
三木氏は、ロッキード事件を利用して、政敵、田中氏の追い落としをはかったといわれたが、岸田氏も今回、政治資金規正法違反事件を好機に安倍派の影響力排除をもくろんだといわれる。
後継候補が不在で、そのことが三木延命の余地につながったが、〝ポスト〟岸田の本命が見当たらないことも共通する。
それやこれやで、岸田政権が危ういながらもなんとか存続するという見方がでたのもあながち不思議ではなかった。
■ 〝万事休す〟の危機、首相にわずかな希望も
岸田首相についてみれば、昨年暮れの一部世論調査で、支持率低下が底を打った気配がみられ、年明けのNHK調査では、かすかだがアップ、能登半島地震への政府対応を評価する声も半数を超えた。
首相としては、1月26日に召集される通常国会で来年度予算を順調に成立させ、目玉政策の少子化対策を軌道に乗せ、春に予定されている国賓待遇での訪米で華々しい成果をあげて、体勢を立て直したうえで、秋の総裁選での再選につなげたいところだったろう。
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