サター氏に聞く その3 台湾有事での反中国際連帯
Japan In-depth / 2024年6月1日 11時0分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・欧州諸国も中国の脅威をグローバルな挑戦として警戒している。
・中国に抗議してアメリカ側と連帯する諸国が圧倒的に多くなった。
・中国側は台湾攻撃に慎重にならざるを得ない。これが米主導の国際連帯の意味だ。
——(古森義久)バイデン政権は当初、中国に対して競合と同時に協力をも標榜して、強固な態度に欠ける感じもありました。同時にトランプ前政権にくらべて国防費を大幅に減らしたため、軍事面での対中抑止力が衰えたとも指摘されていました。しかしこの一、二年の中国側の野心的なアメリカへの挑戦の激化で、バイデン政権も目覚めたということでしょうか。その点でウクライナ戦争の影響も確かに大きかったですね。
ロバート・サタ―「ロシアのウクライナ侵略はNATO(北大西洋条約機構)の欧州加盟国のイギリスやフランスに中国の脅威を意識させました。ロシアがアメリカ主導の国際秩序を武力で変えようとし、そのロシアを中国が支援する。その中国は台湾に対して武力で制圧する構えをみせている。となると米側の欧州諸国もその中国の脅威をグローバルな挑戦として警戒するわけです
アジアでも対中の国際連帯は顕著です。まず日本が年来の消極姿勢を変えて、防衛費を倍増する。中国に届く中距離ミサイルの取得を決める。台湾有事への支援を表明する。この変化の意味はアメリカの対中政策にとっても巨大です。日本のこの劇的な変化は中国の軍事攻勢への対応だけでなく、ウクライナ戦争の影響が大きいですね。ロシアがウクライナにしたことを中国が台湾、さらには日本自身に対しても、するかもしれないという懸念は日本の国防意識を変えたと思います」
——確かに日本の官民の国防意識の変化、というより現実化は最近、顕著です。その原因としてのウクライナ戦争の影響は大きかった。しかし台湾有事で日本が積極的にアメリカや台湾を支援するだろうという認識がアメリカ側にありますが、日本側の実態はまだまだ不透明です。アメリカ側の『美しき誤解』が崩れないことを願っています。「アメリカ側の対中抑止の国際連帯ということでは、日本だけでなく韓国が変わったことも大きいです。昨年8月の米日韓3国の首脳会談での防衛協力の強化は明らかに中国への警戒が主眼でした。
日本に関連してはクアッドの推進も大きな対中抑止要因です。アメリカ、日本、オーストラリア、インドの4ヵ国が同盟ではないけれど、安全保障の対話ということで連帯し、協議する。主題は当然、中国の膨張への対応です。
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