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宗教教育と言語について(下)イスラム圏の教育事情 その5

Japan In-depth / 2024年6月1日 23時0分

読者ご賢察の通り、初期のキリスト教団は、これを「イエスの生誕を祝う祭」であると置き換え、布教に役立てていったのである。





では、イエスの本当の誕生日はいつか、という疑問がわくが、宗教学者の間では5月説が有力であると聞く。12月のパレスチナは雨季なので、東方の博士が星を見てキリスト(救世主)の誕生を知ったという聖書の記述とは矛盾する、と聞かされたこともある。





実はこのあたりの議論は、現在に至るも決着がついていないテーマが多く、そのように聖書の記述をアカデミックに考察する人たちは、やはりギリシャ語を学ぶのだという。





どちらも中東で生まれた宗教でありながら、宗教と言語の関係性という観点から見たならば、大きく異なっていることがよく分かる。





本来そこに優劣などはないはずだが、自らの信仰だけが唯一無二のものだと考える人が昔も今も多く、その結果として、宗教がからんだ戦争が今も絶えない。





幾度も述べてきたことながら、教会にも行かずにクリスマスを祝い、数日後には神社に初詣に行って、信仰上の葛藤などなにひとつ感じないのがわが国である。





日本人に生まれてよかった、と心底思うのはこういう時であるのは、私だけだろうか。





【取材協力】





若林啓史(わかばやし・ひろふみ)。早稲田大学地域・地域間研究機構招聘研究員。京都大学博士(地域研究)。





1963年北九州市生まれ。1986年東京大学法学部卒業・外務省入省。





アラビア語を研修し、本省及び中東各国の日本大使館で勤務。2016年~2021年、東北大学教授・同客員教授。2023年より現職。





著書に『中東近現代史』(知泉書館2021)、『イスラーム世界研究マニュアル』(名古屋大学出版会)など。『世界民族問題辞典』(平凡社)『岩波イスラーム辞典』(岩波書店)の項目も執筆。





※朝日カルチャーセンター新宿教室(オンライン配信もあり)で7~12月、博士の講座があります。講座名『紛争が紛争を生む中東』全6回。5/17より受付中。詳細および料金等は、同センターまでお問い合わせください。





トップ写真:クリスマスの夜(イメージ)出典:LSOphoto/ Getty Images Plus




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