規正法改正案巡り、珍獣が跋扈する永田町 東京都も・・・
Japan In-depth / 2024年6月9日 23時47分
安積明子(政治ジャーナリスト)
「安積明子の永田町通信」
【まとめ】
・政治資金規正法改正案は自民党が折れ、6月6日に衆議院を通過し参議院に提出された。
・自民と公明、維新の会は「ムジナ3兄弟」で、同じ穴に入って抜け穴作りをしているとの声も。
・一方の都知事選、「狸寝入り」の小池氏と「カミツキガメ」の異名を持つ蓮舫氏の戦い、都民の将来はどうなるのか。
永田町からそう遠くない港区麻布狸穴町(まみあなちょう)は、かつてロシア大使館の所在地として知られていた。江戸時代以前には古狸が住みついて、女性や子どもをさらうなどいたずらをしていたという伝承が残っている。
もっとも都心部ではもう狸の姿を見かけることはないが、政治の世界ではこうした“ケモノ”はいまだ生き続けているようだ。まずは政治資金規正法改正をめぐる「ムジナ3兄弟」だ。公明党の山口那津男代表が昨年12月、自民党の相次ぐ不祥事について「同じ穴のムジナとは見られたくない」と動画投稿アプリ「TikTok」で発言した。
これに慌てたのは参議院で単独過半数を維持していない自民党で、結果的にパーティー券の購入公開基準を「5万円超」とした公明党案に妥協せざるをえなくなり、政策活動費についても「10年後の(実は名前だけの)公開」との日本維新の会の主張を採用。同法改正案は多数でもって6月6日に衆議院を通過した。
だがその最中に、岸田文雄首相が出席して採決となるはずの6月4日の特別委員会が未明に流れるという前代未聞の事件が勃発。自民党が提示した法案に、日本維新の会が予測しなかった「政策活動費の公開は50万円超」などの文言が加わっていたからだ。「自民党に騙された」との声が維新内で相次いだ。
まるで「狐と狸の化かしあい」だ。もっとも大審院は1925年6月9日に「狸とムジナは動物学上同じ生き物」と判断しており、麻布狸穴町にある「狸穴坂」の案内には「まみとは雌タヌキ、ムササビ、あるいはアナグマの類」と記載されているから、これに従えば「狐とムジナの化かしあい」ということになるだろうか。いずれにしても国民にとって、およそ不可解な出来事であることは間違いない。
結局、自民党が折れて政治資金規正法改正案は6月6日に衆議院を通過して参議院に提出された。この3党によるドタバタ劇を、日本共産党の小池晃書記局長は「自民党と公明党、日本維新の会は『ムジナ3兄弟』で、同じ穴に入って抜け穴作りをしているのではないか」と厳しく述べ、国民民主党の玉木雄一郎代表もX(旧Twitter)で、「同じ穴のムジナの批判は免れない」と批判を繰り返した。
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